【SAP技術者向け】意外と答えづらい「SAPの今のバージョンなに?」と質問された時の調べ方

SAP 技術情報・その他

システム保守をやっていると、「SAPの今のバージョンなに?」と訊かれることがある。

自分が今扱っているシステムなのだからバージョンくらい答えられて当たり前……と思いきや、自分の担当するアプリモジュール以外のことはからっきしという場合、これが意外と答え辛い。
そんなときに以下のような会話が展開しがちだ。

残業ペンギン
残業ペンギン

SAPのバージョン? ECC 6.0じゃないのん?

おっさん
おっさん

そうじゃなくてNetWeaver?のバージョンを監査で聞かれてて、答えなきゃならんのよ。

あとなんだっけ?『えすぴーれべる』?も教えてほしいんだよな~。

残業ペンギン
残業ペンギン

NetWeaver……うーん、普段扱ってないので……。

あと『えすぴーれべる』って何ですか。

おっさん
おっさん

おいおい頼むよ~(ため息)

お前が社内で一番詳しいんだからさ~。

回答できなかったら俺が素人だってバレるじゃん。

残業ペンギン
残業ペンギン

んなこと言われても……。

とまあ、こんなスチャラカな会話をしないためにも、システムの各種バージョン・環境情報を訊かれたときに確認すべき箇所についてまとめる。

SAP環境・バージョンの調べ方

NetWeaverのバージョン確認方法

NetWeaverが何かを知らない人は下記参照。

SAP NetWeaver - Wikipedia

SAP GUIの画面上部より【システム >ステータス】を選ぶと、現行のシステムステータスが確認できる画面がポップする。
この画面だけでも、SAPのバージョン(R/3か、ECC6.0かなど)、OS(UNIXかWindowsか)、データベースシステムおよびリリースバージョンが確認できる。

更に『コンポーネントバージョン』のボタンを押すことで、各コンポーネントのリリースバージョンを確認できる。(以下図は画面イメージ)

SAP_BASISが一行目に表示されている。このリリースの数値がそのままSAP NetWeaverのバージョンとなる。

例えば:
700 ⇒ SAP NetWeaver7.0
752 ⇒ SAP NetWeaver7.52

といった感じ。

SP Levelについて

リリース番号の右横に「Level」という項目があるが、これがサポートパッケージ(SP)レベルをあらわす。

SP Levelとは
SAPの不具合に対する修正パッチとして、SAP Noteが発行される。
不具合が発見される度にNoteは累積していくわけだが、ある程度修正がまとまった段階でひとまとめにし、「サポートパッケージ」としている。
SP levelとはサポートパッケージのリリースバージョンのようなものと捉えればよく、一つレベルを上げれば多数のSAP Noteが当たる。

SPレベルが低い場合、後から追加された機能等に対応していないことがある。
そうしたものに対応させる要件が出た場合、SPバージョンの更新作業が必要となる。

SPバージョンの更新の際は、複数のNoteがシステムに適用されることになるので、保守する立場からすれば結構なおおごとだ。
SAP noteの適用は、一つだけでも念のためテストをしエビデンスを残す保守現場が多いはずだが、それが複数ともなるとなかなか大変な作業となる。
通常は休日を使ってシステムを止めて対応することになる。

SAPリリースバージョン(SAPサポートページ)

SAPはリリース時期によってバージョンがアップデートされるが、以下の例示にあるような末尾の番号がアップデートされていく。この番号はSAP Supportのページから確認できる。

SAP R/3 Enterprise Edition 4.6C
SAP R/3 Enterprise Edition 4.6F
SAP R/3 Enterprise 4.7

SAP enhancement package 1 for SAP ERP 6.0 (EHP1)
SAP enhancement package 2 for SAP ERP 6.0 (EHP2)
SAP enhancement package 3 for SAP ERP 6.0 (EHP3)

SAP S/4HANA 1511
SAP S/4HANA 1610
SAP S/4HANA 1709

手順は以下の通り。

・SAP support portalにアクセスする。

SAP Support Portal (日本語サイト)
SAP Support Portal Home

・画面上部メニューの【My Support >システム&インストレーション】を指定。

稼働中システムの一覧を確認できるので、そこにSAPリリースバージョンも記載がある。

サポートパッケージマネージャ(Tr:SPAM)

トランザクションSPAMでは、サポートパッケージのインポート状況・バージョンが確認できる。
先ほどの『コンポーネントバージョン』の画面よりも、より詳しくサポートパッケージの適用状況が見れる、という画面。

各パッケージのインポートログなども確認できる。

コンポーネントのステータステーブル(Table:CVERS)

『コンポーネントバージョン』に出てくる情報はどこから取得してきているのかというと、最新のリリースステータスを格納しているテーブル(CVERS)があり、ここに情報が入っている。

ちなみにCVERS_TXTというテーブルでは、SAPのバージョンのテキスト(例:SAP R/3 Enterprise, SAP ECC6.0など)が言語別に格納されている。

カーネル情報(Tr:SM51)

トランザクションSM51を起動し、【ジャンプ >サーバ情報 >リリースノート】を選択する。

するとSAPのカーネル情報、カーネルパッチ番号、DBSLパッチ番号、サポート環境といった情報を確認できる。

コードページ情報(PGM:RSCPINST)

バージョン情報とは少しずれるが、システムが単一コードページなのかそれ以外のコードページ設定なのか、UnicodeなのかNon-Unicodeなのかを訊かれることがある。

R/3環境からERP6.0環境にバージョンアップする際などはシステム環境のUnicode変換が必要となってくるが、現行環境がどのようになっているかを以下手順で確認できる。

プログラム:RSCPINSTを実行 >「現在のNLS設定」ボタンを押下

ロケールやDBコードページなども確認できるので、コードページ系の質問が来た時にはここを見れば回答できる。

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