【人材価値】年収アップのカギは「マルチスキル(多能工化)」と「希少性」

IT技術者の年収・人材価値

年収が高い人=「希少性」と「有用性」がある人

みる子
みる子

年収が高い人はどういう人なのか?「優秀な人」「専門知識がある人」という答えが多く返ってきそうな問いだ。間違ってはいないが、それは一つの側面しか捉えていない考え方だ。

残業ペンギン
残業ペンギン

一つの側面というと?

みる子
みる子

いくら優秀だったり、能力がある人でも、それが世の中に求められていなければ意味がない。
価格とは、需要量に対する供給量で決まる。
皆が求めている有用なもので、かつ希少なものであれば価格はどんどん吊り上がっていく。一方、どんなに品質を高めても、皆が求めるものでない無用なものならば、価格は落ちていくしかない。

残業ペンギン
残業ペンギン

なるほど。つまり、これは人に当てはめて考えても同じということですね。
貴重な能力を持っていて、有用性(需要)があれば価格は上がります。
逆に、多くの人が持っている能力であれば、多少需要が増えても価格は頭打ちです。

みる子
みる子

そうだ。この考え方をもとに、貴重な人材になるにはどうしたら良いかを考えてみる。
ただただ優秀になろうと努力したり、専門知識をとにかく獲得しようとしたりするのは、効率的と言えるだろうか?

残業ペンギン
残業ペンギン

うーん、優秀なのは大事だと思うんですが、それが世の中に求められるスキルかどうかという観点も持たないと、年収アップに直結するかどうかは不明ですね。

みる子
みる子

その通りだ。同じ努力をするにしても、「どのように希少性を作り上げるか」そして「それに有用性があるのか」ということを考えて努力をする。そうすれば自ずと年収アップの道が開けるはずだ。

残業ペンギン
残業ペンギン

IT業界はスキルによって人月いくらが左右されますから、希少で有用なスキルがあるほど、単価も高くなりますよね。

みる子
みる子

この「希少性」と「有用性」の2つの軸のうち、「希少性」の作り方から検討していこう。

 

1つ目の軸:「希少性」 ~マルチスキル(多能工化)で希少性を大幅アップする~

残業ペンギン
残業ペンギン

しかし、希少なスキルってどうすれば獲得できるんでしょう。このままずっとプログラマーを続けてプログラム言語を極めたら、希少な人材になれますか?

みる子
みる子

本当に極めたら貴重な人材になるだろうが、残念ながらペンちゃんのように、SIer系IT企業に勤めながら上流工程から降ってきたものをひたすら実装する仕事だけでは、プログラムを極めるのは難しい。
そのままでは、ただ勤続年数が長いだけの中年プログラマーになるだけで、むしろリストラ対象となるリスクが増大するだけだ。
「プログラミングが出来る」というだけでは、希少性を獲得するのは難しい。

残業ペンギン
残業ペンギン

ええ~っ。そうですかー……。

みる子
みる子

「プログラミングが出来る」という単一のスキルだけで勝負するのはシンドイということだ。
プログラミングが出来るというだけであれば、国内外合わせてこれからもどんどん人が増えていくし、専門性を高めるにも茨の道だ。
自身にプログラミングに特別な才能があると感じている人でない限り、単一のスキルだけで勝負しても希少性は獲得できない。

残業ペンギン
残業ペンギン

なるほど。しかし、どうしたら良いんでしょう。

みる子
みる子

とてもシンプルな話だが、単一のスキルで勝負が難しいのなら、スキルを複線化すれば良い。つまり、マルチスキル=多能工になればいい

【みる子ノート】
多能工とは単能工の反対語だ。
単能工とは、工場の生産ラインにおいて複数の工程があった場合、
そのうちの一つしか担当できない工員の事を言う。
反対に、多能工とは、生産ラインのうち複数の工程を担当できる工員の事をいう。
複数工程を担当できる工員がいた方が、ある生産ラインで人が足りなくなった場合でも、
工程間で人員を融通しあうことにより平準化できるようになる。
工場の生産性や安定性を向上させる際には、多能工化をいかに推進するかが
重要な課題となる。

 

みる子
みる子

工員が100人いる工場があったとして、工程A、B、Cの3工程が存在しているとする。
各員がいずれかの工程を受け持っているが、工程習得にはある程度の難易度があり、一朝一夕では習得できない。
各工程を担える人の割合は、全工員に対して工程A(6割)、工程B(5割)、工程C(3割)だとしよう。
この場合、希少人材になるにはどうすればいいか考えてみよう。

残業ペンギン
残業ペンギン

工程を二つ以上受け持つことが出来れば、その人は希少な人ということになると思います。

みる子
みる子

その通り。単純に割合で表してみよう。

工程Aが出来る人(6割)×工程Bが出来る人(5割)×工程Cが出来る人(3割)=全工程が出来る人(1割弱)

残業ペンギン
残業ペンギン

おー、100人いる工場ですから、希少性はトップ10に入れるということですね。

みる子
みる子

そうだ。何事も100人いるうちのトップ10に入るのはなかなか大変なことだが、複数領域の掛け算を使うことで実現できる。

残業ペンギン
残業ペンギン

逆に単一の領域で希少性を高めるには、相当な修行時間に加えて、才能や素質も必要そうですよね。

みる子
みる子

そうだ。凡人でも希少な人材になるためには、この掛け算を活用すると良いということだな。

残業ペンギン
残業ペンギン

掛け算なので、母数に対する割合が少ないスキルを持つほど、希少性を高めることが出来ますね。

みる子
みる子

例えば日本のIT業界という視点で見た場合、「プログラミングを出来る人」は多く存在するが、「英語で会議が出来る人」というのは50人に一人も居ないだろう。
この二つを組み合わせれば、希少性は100人に一人とか、200人に一人というレベルになってくるわけだな

残業ペンギン
残業ペンギン

ガチャを100回まわして出るかでないか、と考えると相当なレアですね。

みる子
みる子

ここまでが「希少性」に関する話だ。

そして次は、2つ目の軸である「有用性」について検討する。

2つ目の軸:「有用性」 ~スキル間のシナジー(相乗)効果を狙え~

残業ペンギン
残業ペンギン

そういえば、ぼくの会社でも多能工化を推進しています。

みる子
みる子

ほう。ちなみにペンちゃんの会社はどういった形で多能工化を推進しているんだ。

残業ペンギン
残業ペンギン

複数の言語でプログラミング出来るようになることを推奨しています。

みる子
みる子

なるほど。完全に会社都合の多能工化だな。
個人の年収アップにはあまり寄与しない。

残業ペンギン
残業ペンギン

ええー、どういうことですか。

みる子
みる子

多能工の話でも書いたとおりだが、複数言語を扱えるプログラマーを増やしておけば、構築案件間で融通が効き、作業平準化が容易になる。
人員が余り気味のところから人員不足のところに移動させやすくなるので、会社にとっては非常に都合がいい。

残業ペンギン
残業ペンギン

まあ、たしかにそうですよね。ぼくもよく、他言語の構築案件にヘルプに行かされますから。

みる子
みる子

しかし、ペンちゃん個人の人材価値として考えてみよう。
自分の案件で働いている時と、他案件に助っ人に行っている時とでは、単価に差異はあるか?

残業ペンギン
残業ペンギン

あー……。プログラマーの単価って、言語間で多少の差異はあれど、ぼくの扱える言語では特に大差ないですね……。

みる子
みる子

そういうことだ。会社にとって都合のいいだけの多能工化とは、分けて考える必要がある。
たしかに多言語を扱えるほど割合は少なくなり希少性は高くなる。しかし有用性には限界がある。
実際に作業をするときに扱うのは一つの言語で、それは一つの言語に対する機能構築の需要に応えているに過ぎないからだ。

残業ペンギン
残業ペンギン

まあたくさん言語を知っていても、書くときは1種類しか使いませんからね。逆に、有用性を上げるための多能工化とはどのようなものでしょうか?

みる子
みる子

そうだな。一言で表すと、スキル間でシナジー(相乗)効果を生むかどうかだ。

残業ペンギン
残業ペンギン

おお、シナジー効果ですか。

みる子
みる子

そうだ。わかりやすくいうと、ペンちゃんが複数のプログラミング言語を学んだとして、結局一つの作業をやっているときに使っているスキルは一つだけだ。
つまり、結局単位時間あたりに使用されるスキルは1種類だけに過ぎないので、これはシナジーを生んでない。
しかし、仮にペンちゃんが「タイピングが並外れて速い」というスキルを持っていたらどうだろうか。

残業ペンギン
残業ペンギン

おおー、たしかに「プログラミングが出来て」「タイピングが速い」というのは同時に発揮できるし、シンプルに相乗効果がありますね。

みる子
みる子

ほかにも、例えば「設計ができる」というのも相乗効果のあるスキルだ。
前回記事「人材価値を上げるために必要な視点(ヒト・モノ・カネ)」でも言ったが、年収アップの手段として上流工程の方向に能力拡充することを考えるのが有効だ。

残業ペンギン
残業ペンギン

設計もプログラミングも、両方できると有用性が上がり、人材価値が上がり、年収も上がるんですか?

みる子
みる子

そうだ。例を挙げてみよう。SIer系の会社ではプログラミングを知らないが、設計だけやっているという上流工程オンリーの人もいる。
プライム(一次受け)の会社は上流工程を担当することが多く、プログラミングは外注するので、プライムに入社した人はプログラムは研修の時に勉強しただけというパターンが多い。

残業ペンギン
残業ペンギン

あー、そういう人は、プロジェクトに入ると普通にいますね。

みる子
みる子

そのように、設計だけやってきた人は、「この部分の設計って実装(プログラム)的にはどうかな~?大丈夫かな~?」なんて思いながらやってることも多い。
そんなときに、設計者観点も持っているプログラマーがいれば、とても相談しやすい。こちらの意図をくみ取って、なおかつ実装面での最適な提案をしてくれるからだ。
こうなれば、そのプログラマーはすでに立派な「有用性」を持った人材だということだ

残業ペンギン
残業ペンギン

なるほど。いちいち「システム的に言うと」という枕詞を挟まなくても、会話が出来ますからね。

みる子
みる子

そういう人材は、上流工程担当者にとっては、とても喜ばれる存在になるし、上流工程にも引き上げてもらいやすくなる。なぜだかわかるか?

残業ペンギン
残業ペンギン

えーと、意思疎通を図りやすい、仕事がスムーズになる以外に理由があるのでしょうか。

みる子
みる子

ある。それは、上流工程担当者が、自分の仕事をその人材に振ることが出来るようになるからだ。
そして、上流工程担当者が自分の仕事を振って、工数が浮けば、自分はさらに上流の仕事を対応する時間が出来る。
つまり、その人材がいることによって、自分がさらに高みの仕事が出来るようになる

残業ペンギン
残業ペンギン

あ、話が見えましたよ。チームや組織っていうのは、そうやって自分の後進を育てて、仕事を任せることで自分は更に上に行くという循環で成り立っているんですよね。

みる子
みる子

その通り!
……そこまでわかってるのに、なんで自分の働き方に応用できないんだ。

残業ペンギン
残業ペンギン

うーん(笑)、部活とかの経験で、そういう組織論はわかってるんですけどね。
なかなか具体的にどうしたら良いか。

みる子
みる子

学生時代の経験が仕事に活かせていないパターンだな。
就活の時、自己分析とかサボったろう。

残業ペンギン
残業ペンギン

ははは、面倒だったので。すみません。

みる子
みる子

いずれにしても、「上に登っていける人」というのは、同時に「自分より一つ上の立場の人を、さらに上に押し上げることが出来る人」でもあるということだ。
IT業界のピラミッドという観点からも、能力拡充するなら上流工程を目指すのがやはりオススメだ。

残業ペンギン
残業ペンギン

ちなみに、設計をやっている人がプログラミングを学ぶのはどうでしょう。

みる子
みる子

能力の補強にはなるだろうが、下流方向へはあまりシナジーが無い。仕事に困っていたら検討するくらいだな。

「希少性」と「有用性」獲得の戦略的な能力拡充

みる子
みる子

獲得するスキルを選ぶには戦略性が必要だ。人生の時間は無限ではない。
ゲームに例えてみてもわかりやすいだろう。
割り振れるステータス値の総量に上限がある場合、どう割り振るかをしっかり考えないと、後々後悔するからな。

残業ペンギン
残業ペンギン

あー、わかりますよ。ダークソウルのステ振りで小一時間悩みますからねー。

みる子
みる子

ダクソじゃなくて自分のステ振りをもっと考えろ。

残業ペンギン
残業ペンギン

ゲームの話出したの、みる子さんじゃないか~泣

みる子
みる子

さておき、どのようなスキルを組み合わせたら「希少性」と「有用性」が上がり、年収アップにつながるだろうか?
そのためのスキル選びはイゴール・アンゾフによる企業の多角化戦略のモデルを基に考えるとわかりやすいだろう。

多角化戦略にはいくつかの分類があるが、ここでは①水平型多角化戦略、②垂直型多角化戦略、③集中型多角化戦略の3つの多角化戦略を紹介する。

 

【みる子ノート】
1.水平型多角化戦略
 関連する製品を横方向(水平)に展開するような、製品ライン拡充戦略。
 たとえば普通車を作っている会社が、バイクやトラックを作るといった形だ。
 従来の製品ノウハウを使って拡充できるので、ローリスクではあるが、
 同じ市場にとどまるのでローリターンの戦略でもある。

2.垂直型多角化戦略
 サプライチェーンの川下や川上方向に事業を拡大する戦略。
 例えば八百屋が農地を買って野菜の自社生産を始めた場合は、
 川上方向の多角化であり、後方多角化と呼ぶ。逆に川下方向は前方多角化という。
 前後のビジネスノウハウを獲得し理解することで、全体最適を目指すことが出来る。

3.集中型多角化戦略
 すでに持っている技術に関連した新たな市場に進出する戦略。
 カメラを扱っていた精密機器メーカーが、精密医療機器分野に進出したりなど。

 

みる子
みる子

もう一つ、全く異なる異業種に進出する集成型多角化(コングロマリット化)という戦略があるが、ここでは飛ばす。
上記の多角化戦略を基に、能力を獲得する方向性について考えればいい。

残業ペンギン
残業ペンギン

例えばたくさんのプログラミング言語を習得するのは、水平型多角化にあたりますね。
一つの言語の構築案件が少ないときは他に移れば良いだけなので安定性はありますが、ハイリターンではなさそうです

みる子
みる子

そうだ。そして、上流方向に能力を伸ばすのは垂直型多角化戦略といえるだろう。

残業ペンギン
残業ペンギン

英語スキル獲得などは、どの戦略にあたるでしょうか?

みる子
みる子

英語スキルを獲得すると、いままでは「日本国内の構築案件」という市場だけだったのに対し、元々持っている技術力をベースに「海外の構築案件」「国内外資系の構築案件」「国内企業の海外進出に伴う構築案件」という広い市場に進出するという意味で集中型多角化に該当するだろう。
ここで重要なのはどのスキルならどの戦略、という話ではなく、自分が進出したい方向・マーケットに合わせてスキル選びをするということだ。

残業ペンギン
残業ペンギン

ぼくが今いる市場で価値を高めたいなら、タイピング能力を磨けばいいし、上流工程に進出したかったら設計を勉強したり、エクセルやパワポなど資料作成能力もを磨くということですね。

みる子
みる子

そうだ。進出する方向性を考えて、多角化戦略をベースに取得すべきスキルを整理していくといい。
以下に代表的な強いスキルの例を挙げておくから、自分のとるべき戦略の助けになるものを考えてみるといいだろう。

強いスキルの例:
・Microsoft Word, Excel, Powerpoint,Access
・ネットワーク、ハードウェア知識(アプリ担当の場合)
・タイピング技能
・財務会計知識
・顧客業務知識
・英語力
・コミュニケーション能力
・マネジメント能力
・情報整理能力
・リスク管理能力

 

残業ペンギン
残業ペンギン

いろいろ有用そうなスキルがありますね。資格とかは取った方がいいんでしょうか?

みる子
みる子

そうだな。「資格なんて取らなくてもいい」という人もたまに見かけるが、当ブログでは資格取得を推奨している。
取得するべき資格が希少性と有用性の獲得につながるなら、ぜひ取るべきだし、資格取得は一つのマイルストーン(目標)にもなる。
一般的な社会人にとってはとても有効なアプローチの一つだ。この点は別の機会に話すとしよう。

残業ペンギン
残業ペンギン

なるほど、よくわかりました。
まずは、自分にあったスキルがどういうものなのか考えて、勉強を始めてみたいと思います。

みる子
みる子

プログラマーの場合、「粗食に耐え、極暑極冷に耐え、強健で長時間労働に耐える」なんていうのもブラック企業が推奨しているスキルだ。

残業ペンギン
残業ペンギン

それは人間じゃなくてロバのスキルです!
ああ……近くに飲食店も娯楽も無い地域で、プロジェクトルームという名の空調も無い倉庫に缶詰にされて一年間、朝から深夜までコード書いてた時期を思い出した……。

みる子
みる子

では、今回はここまでとしよう。

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

タイトルとURLをコピーしました