SAPに限らず、システムの保守をしていれば、障害や不具合に出くわすことは一度や二度では済まない。
たいていは単なるマスタや権限のエラーであるとか、以前に改修した部分が火を噴いたとかいったもので、詳しく見ないでもなんとなく原因にアタリがつくものも多い。
しかしたまに異常が起きてはいるようだが原因箇所がわからない、という不定愁訴に近い状況にも遭遇する。
そうした時に確認するべきトランザクションについてご紹介する。
SAPシステム障害のときに役立つ監視系トランザクション
Tr:ST22 ABAP実行時エラーの確認
まず代表的と言えるのが、ショートダンプ(ABAP実行時エラー)の確認だ。
バックグラウンドで実行していたものが落ちたりすると、意外に気付かなかったりする。
夜間バッチ結果の確認手順に入れておいた方が良いだろう。
Tr:SM37 ジョブログの確認
同じく夜間バッチの結果確認を行う際には代表的と言える。
全部のジョブは確認できないので、エラー(中止)ステータスとなっているジョブに絞って夜間バッチ結果を確認しているという保守要員も多いことだろう。
Tr:SLG1 アプリケーションログ分析
アプリケーションログが登録されるケースは様々だが、HTTP通信、ワークフローのログ、支払媒体の出力、CIFの転送といったケースで警告またはエラーが出た時にTr:SLG1にメッセージが残る。
実行したトランザクション画面だけでは、エラーの際に詳しい原因がわからない場合もあるので、Tr:SLG1にメッセージが残っていないか確認する。
Tr:SM58 RFCトランザクションログを確認
IDOCの信号ステータス(Tr:BD87などから参照)は緑になっているものの、相手先システムにはデータが届いていないことがある。
こういった場合はTr:SM58も確認を行う。
相手先への接続情報がResolve出来ない場合は、ここにログが残るので、エラー内容を確認する。
Tr:CFQ1 RFC通信のキューを確認
RFC通信の際、データがキューに溜まって送受信処理されていない場合がある。
相手先システムからデータが届かない/相手先に届かないといった場合は、キューを確認する。
Tr:SM21 システムログ分析
通信時のエラー、セッションエラー、ABAP実行時エラー等が時間・クライアント・ユーザ共に記録してあるのを参照可能。
Tr:SM51 サーバーステータス確認
サーバー一覧が出力されるため、それぞれ有効なステータスであるかを確認する。
サーバーをダブルクリックするとプロセス一覧(Tr:SM50)に飛べる。
Tr:SM50 プロセス一覧
サーバー内で走っているプロセスを一覧で表示してくれる。
おかしなプロセスが走っていないか確認できる。
ループしていて返ってこない実行プログラムなど、プロセスをダブルクリックして「詳細表示」画面を出せば、中で何を実行しているのかSQL発行文などを見ると分かる。(仮に、データベースの読み込み含め何も動いてなければ、実行中に停止してしまったプロセスと判断できる)
不要なプロセスは、プロセス一覧にカーソルを合わせ、メニューから中断することが出来る。
Tr:ST02 SAPメモリの確認
ロールエリア、ページングエリア、拡張メモリ、ヒープメモリの現在の占有率などを表示してくれる。
Max useに近かったら改善が必要となる。
Tr:ST03n システムのワークロード分析
パフォーマンスデータやワークロードの統計を確認することができる。
統計レコードの保持期間の調整もここで行える。
【管理者 >エキスパートモード >詳細分析 >業務トランザクション分析】からシステムで使用されているトランザクションの履歴も確認することができる。これは使用頻度の高いトランザクションを調査する際にも使えるログだ。
Tr:ST04 DBパフォーマンス分析
DBの読み書きの状況、サイズ、ビジー状態時の待ち時間などの統計を見ることができる。
「サマリ」ボタンからはアクセスしたデータベーステーブルのIDなどもわかる。
たまに眺めてみると面白い。
Tr:SPAD Spool DB整合性チェック
スプール関連で異常が疑われる場合はここを確認する。
スプール依頼や印刷依頼など関連テーブルに対する整合性をチェックし、ステータスが正常かどうかを一覧表示してくれる。
【管理タブ >スプールデータベース整合性チェック】でチェックを実行する。