【SAP PP知識】作業区マスタについて解説

SAP PP・MRP

作業区マスタは、製造場所(個々の作業所や製造機械など)を表すPPモジュールのマスタで、作業手順マスタに設定し、作業時間の計算や労務費や製造間接費の計算に関わるものだ。

この記事では作業区マスタがどういうものか、およびCOモジュールの活動タイプやPPモジュールの作業手順マスタといったオブジェクトの関連性について解説する。

作業区マスタについて解説

作業区マスタは、現実の製造現場における個々の作業場所や製造機械に対応して登録する。
そうした作業場所においては、作業者や製造機械が稼働した分だけ労務費や製造経費などが発生することになる。
よって、作業区とは、作業手順(PP)および「原価センタ」「活動タイプ」を通じて原価計算(CO)を接続する役割を持つマスタとも言える。

作業区マスタの登録方法(Tr:CR01)

作業区はTr:CR01から登録する。

Tr:CR01 作業区登録
Tr:CR02 作業区変更
Tr:CR03 作業区照会

作業区マスタの構成要素

Tr:CR01にて起動した第一画面で、プラント、作業区のコード、作業区カテゴリを指定する。
第二画面以後は以下のようなタブが表示される。

基本データタブ

作業区の名称や作業区責任者、用途(作業手順、レート作業手順、マスタレシピ、品質検査といった各種のタスクリストのうち、どれに対して使う作業区なのか)を定義する。

・標準値キーについて

画面中ほどには「標準値キー」を指定する項目がある。
標準値キーは、該当の作業区における作業工程を構成する時間的・数量的要素(段取時間、加工時間、組立ステップ数など)を設定しておくパラメータだ。
こうしてあらかじめ作業区に設定した要素は、能力所要量や製造原価を計算する根拠として使用される。
後述の作業手順では、それら要素について標準的に必要となる数量(=標準値)を各作業に対して指定する。

初期値タブ

管理キーなど作業区の持つ各種の初期値(作業手順において参照され、初期設定として読み込む)を設定しておく。

能力タブ

能力所要量を計算するための各種パラメータ(能力カテゴリ、計算式、能力削減管理)の設定を行う。

日程計画タブ

日程計画に関わる各種期間、所要時間を設定するタブ。

原価計算タブ

COモジュールにて登録した活動タイプとの関連を設定するタブ。

このタブではまず、管理領域と原価センタを設定する。
品目の標準原価計算を行う上で、作業区への原価センタの割り当ては必須となる。

標準値キーから読み込まれた時間的・数量的要素に対して、活動タイプ・単位・計算式を割り当てる。
前提として、CO機能の活動タイプ/価格計画(Tr:KP26)にて、原価センタ・活動タイプごとの計画値(各活動にたいして標準的にかかる原価の金額。例えば、ある活動における一分間の作業にかかる直接労務費)を設定しておく必要がある。

※計画値をTr:KP26で登録していない場合、該当の活動タイプが原価センタに設定されていない旨の警告が出る。

作業区に関わるカスタマイズ

定義:標準値キー(Tr:OP19)

作業区の標準値項目(上述の時間的・数量的要素)を定義する。
標準値項目の要素は、Tr:OP51にてカスタマイズする。(後述)

設定:責任者

作業区における責任者を定義する。

定義:作業区の初期値(Tr:OP42)

作業区を登録する際に、基本ビュー、初期値ビュー、能力ビュー、日程計画ビューに予め初期値として表示する値を設定しておく。
初期値はプラント・作業区カテゴリごとに異なる値を設定できる。

定義:作業区の計算式(Tr:OP54)

作業区における標準値の要素ごとに、計算式を設定できる。
計算式の区分フラグ(原価計算用、能力所要量の計算用など)を予め設定し、用途によって使い分ける。

計算式は「作業時間標準値 × 作業数量(MGVRG) ÷ 基本数量(BMSCH)」といった形で定義する。
計算式を構成する項については、別途カスタマイズの「定義:作業区の計算式パラメータ(Tr:OP51)」にて定義する。

定義:計算式パラメータ(Tr:OP51)

標準値キーに用いる要素や、計算式の項などをパラメータとして定義する。
データの源泉(作業手順の一般データ、作業区の標準値など)を指定した上で、パラメータ名称や数量単位、参照する項目IDなどを設定する。

標準原価計算との接続

活動タイプ/価格計画(Tr:KP26)

原価センタに対し、活動タイプおよび活動タイプごとの計画値を設定する。
ある原価センタにおける各種活動に対して標準的にかかる原価の金額(活動単価、活動レートとも言う)を登録する。

作業手順への設定(Tr:CA01,CA21)

作業手順マスタにおいては、製造にかかわる作業工程を登録する。
通常、製造においては複数の作業工程を渡って製品が完成するので、作業手順マスタは明細を持つ。
その作業明細ごとに、作業区マスタのコードを設定する。

作業手順では、該当の作業区における作業で発生する時間的・数量的要素(先述の標準値キーに設定する内容)に対して、作業手順上で定義した基本数量(その作業にて産生される製品量)に対する標準値を設定する。

例えば、製品10KG(基本数量)を生産するのにかかる標準的な作業時間は30分(標準値)といったかたち。

このように、活動タイプ・原価センタ・作業区マスタ・作業手順マスタ(標準値)の設定を行うことで、ある品目を製造するのに必要な労務費・経費等といった製造原価を構成する要素が定義でき、標準原価計算(原価積上)において材料費と並ぶ主要な部分の計算根拠となる。

作業区に関わるテーブル

CRHD 作業区ヘッダ
CRTX 作業区テキスト
CRCO 作業区を原価センタに割当
CRCA 作業区能力割当

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