【SAP PP知識】「レート作業手順」と「作業手順」はなにが違うのか?

SAP PP・MRP

SAPのPP(生産管理)機能では、生産作業の手順・内容を登録するマスタがいくつか存在し、その中でも名前のよく似た「作業手順(Routing)」と「レート作業手順(Rate Routing)」というものがある。

今回は「レート作業手順」と「作業手順」のそれぞれ特徴について説明する。

「レート作業手順」と「作業手順」はなにが違う?

レート作業手順

シナリオ

レート作業手順は繰返生産シナリオに向いている。

SAPにおける繰返生産機能では、製造指図を使用しない
繰返生産では製品原価コレクタ(Product Cost Collector)(Tr:KKF6N)を登録し、計画手配を使用する。繰返生産の生産実績計上(Tr:MFBF)では、原料はBOMに登録した数量に基づき、入力した生産数量見合いでバックフラッシュにて理論値での消費を行う。これにより効率的な実績入力が可能となっている。

繰返生産機能は、工程の変更や規格変更の頻度が少なく、少品種大量生産される製品の生産シナリオを想定している。(多品種少量生産や、生産の都度原料や工程の調整を行うような生産シナリオへの適用には向かない)。

原価管理は一定期間(月ごと)の期間別に把握し、総合原価計算に適する。

トランザクション

レート作業手順では、Tr:CA21を用いて、生産の作業を登録する。
画面構成自体は、ほぼ作業手順(Tr:CA01)と変わらない。

ただし、作業手順マスタには作業順序の定義方法として、標準順序(作業明細ごとに逐次進行する作業)のほかに、並行順序代替順序を定義できるのに対し、レート作業手順マスタでは、作業明細同士の関係として代替順序を定義することができない
この点が大きな違いとなる。

繰返生産では計画手配に対して実績計上をバックフラッシュで計上するので、作業工程の代替があったとしても手順変更を行うタイミングが無い。(組立生産であれば工程変更の際には製造指図上で作業手順の変更を行う)

レート作業手順登録 Tr:CA21
レート作業手順変更 Tr:CA22
レート作業手順参照 Tr:CA23

タスクリストタイプ

レート作業手順はタスクリストタイプ「R」となっている。
テーブルPLKOでレート作業手順のデータを検索する際は、タスクリストタイプ(PLNTY)はRを指定する。

作業手順

シナリオ

作業手順は組立生産シナリオに向く。
組立生産シナリオでは、製造指図を登録し、指図ベースで日程、工程、投入原料を管理していく。
生産の進捗に合わせ、指図ごとにステータス(主にCRTD,REL,CNF,TECO,CMPL)管理も行われる。

組立生産における生産実績の入力(Tr:CO11N等)では、作業毎の実績入力、投入した原料の実績・作業量、歩留まりなどを、実績に基づき細かく調整する。(自動入出庫を設定することもできる)

製品原価管理は製造指図ごとに原価把握をする個別原価計算を使える。

トランザクション

作業手順の登録はTr:CA01から行う。
レート作業手順との主な違いは、先述の通り。

作業手順登録 Tr:CA01
作業手順変更 Tr:CA02
作業手順参照 Tr:CA03

タスクリストタイプ

作業手順はタスクリストタイプ「N」となっている。
テーブルPLKOで作業手順のデータを検索する際は、タスクリストタイプ(PLNTY)はNを指定する。

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