【SAP PP知識】MRPがうまく実行されないときに点検すべき10箇所

SAP PP・MRP

MMやPPなどを扱っていると決まって遭遇するのが、

「設定はしたはずなんだがMRPがうまく実行されない」

という問題。

今回はMRPが実行されないときに点検するべき設定を列挙してみる。

MRPが実行されないときに確認する設定

プラントの所要量計画有効化(Tr:OMDU)

あまり見落とす設定でもないが、大前提なのでいちおう記載する。

この有効化フラグがないプラントでは、MRP実行しようとすると「プラントXXXX内で所要量計画が活動していません」というエラーになる。

保管場所MRP区分(カスタマイズ)

カスタマイズで保管場所ごとのMRP区分の設定を行う箇所がある。

【生産計画/管理 >資材所要量計画 >計画 >定義:保管場所MRP(プラント別)】

挙動が怪しい保管場所がある場合は、こちらを確認する。

開放期間

MRP実行画面(Tr:MD01)などを見ると、パラメータ「購買依頼の開放期間」などと記述されているものがあると思う。

開放期間によって、計画手配をMRPが拾うか拾わないかが判定される。

MRP実行日付が、計画手配の開放日(日程計画余裕キーで決定)の中にある場合のみ、MRPは変換処理の対象として拾ってくれる
たまに未来日でMRPを実行した時に、想定した手配の変換が起こらないなどの現象が出るが、その場合はたいてい開放期間が原因となっている。

日付項目や日程計画余裕キーの設定とMRP実行日をよく観察しよう。

計画範囲(Tr:OM0E)

計画範囲は、MRP実行の対象プラント・MRPエリアおよびその順序を定義しておく。

ここに登録をしておかないと、計画範囲指定で実行した場合、狙ったプラントでMRPが回らない。また、転送設定などをしている場合も、プラントの前後関係に注意する。

MRPタイプ(品目マスタ:MRP1ビュー)

MRPタイプが有効なものに設定されているかを確認する。

品目のMRPタイプがPDなどであれば実行対象となるが、NDはMRP対象外だ。

方針グループ(品目マスタ:MRP3ビュー)

方針グループが業務シナリオに沿ったもの、つまり想定された所要量削減設定がされているかを確認する。

方針グループ設定は以下カスタマイズから確認する。

【生産計画/管理 >資材所要量計画 >マスタデータ >独立所要量パラメータ >計画方針】

保管場所MRP区分(品目マスタ:MRP4ビュー)

保管場所MRP区分はMRP4ビューでも設定対象なので、MRP対象外となっていないかを確認しておく必要がある。

計画ファイルエントリ確認(Tr:MD21)

計画ファイルエントリが作成されることで、品目はMRPの実行対象となる。
自動生成が漏れる場合があるので、どうしても動かない場合はTr:MD21から計画ファイルエントリが存在しているかどうか確認する。

計画ファイルエントリが無ければ、Tr:MD20から品目ごとに手動生成できる。
また、「計画ファイルエントリは存在しているが、正味計画変更のフラグが立っておらず(NETCHだと)実行対象にならない」というケースもある。よく観察するのが肝心。

Tr:MDABから自動生成のバックグラウンドジョブを組むこともできるので、日次の周期ジョブで設定しておくのでも良い。

ローレベルコード(品目マスタ・BOM)

品目マスタの情報ボタン([i]となっているもの)を押下するとローレベルコードを確認することが出来る。
おそらく000や001など3桁の数値が並んでいるはず。

ローレベルコードは、MRPを実行するときに、対象品目の所要量を計算する際の順番を制御する階層番号だ。

ようするに、この番号が小さいものから先にMRPが回っていくということ。

000が最終製品であり、最初にMRPの所要量計算が行われる。(BOMの階層トップなので、当然いちばん先に実行しないといけない)
そのつぎに001、002、003という風に、各ローレベル(階層)に属する品目群を順番に所要量計算対象としていく。

所要が上手く計算されないとき、ローレベルコードがうまく更新されているかを確認する。

何らかの事由でローレベルコードの上下が想定と逆転していたりすると、所要が上手く展開されないことになる。

・ローレベルコードが上手く更新されないケース

ローレベルコードはBOMの設定を行うことで更新される。

構成品として指定された中間品・原材料は、ローレベルコード001以降の数値が割り当てられる。(複数のBOMで使われている原材料であれば、BOMの中で最下層となるローレベルコードが割り当てられる)

ただし、BOM明細中のフラグ「循環性許可」にチェックが入っている場合、ローレベルコードは据え置かれて更新されない

この項目は、互いが互いの構成品になることを許可する設定であり、上下関係が循環することになる。

MRP実行モード「NEUPL」で実行してみる

実行モード「NETCH」では、前回MRP実行から所要量に関わる更新があった品目だけが対象になる。
一方、「NEUPL」は全品目が実行対象となる。
計画ファイルエントリ未作成の場合でも、実行対象となり、計画ファイルエントリも自動作成される。

原因はよくわからないが「NEUPL」ならMRPで所要量が計算された、ということもある。
(それ以降「NETCH」でも実行対象になる)

ただし、NEUPLはプラントの全品目を実行するものなので、当然ながら実行時間がかなりかかる。
サーバーの処理能力をよく吟味しなければ、本番機実行はおススメしない

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