【SAP CO知識】標準原価の履歴の調べ方(テーブル:MBEW、MBEWH)

SAP CO

SAPでは履歴テーブルがいくつか存在しており、テーブルと仕組を知っておけば、過去時点のデータを取得する要件に対応する際に役立つ。

以前に、在庫数の履歴を調べるための方法についてご紹介した。

【SAP MM知識】在庫数の履歴の調べ方(テーブル:MARD、MARDH)
在庫領域の機能構築をする際、「過去の特定時点の在庫数量を取得したい」という要件が出ることがある。 今回はテーブルMARD(保管場所在庫)およびMARDH(保管場所在庫の履歴)の特徴について説明し、そういった要件への対応方法について整理する。

今回はテーブルMBEW(品目評価)およびMBEWH(品目評価:履歴)の特徴を解説するとともに、標準原価の履歴を取得する方法についてご紹介する。
前回説明したテーブルMARD、およびMARDH(保管場所在庫の履歴)の仕組みに似ているので、前回記事も参考にして頂きたい。また、今回は標準原価の説明に絞る。

SAPの標準原価履歴の取得方法

テーブル:MBEW,MBEWHが保持する情報

テーブル
・MBEW 品目評価
・MBEWH 品目評価:履歴

・テーブル:MBEW
品目、評価レベル、評価タイプをキーとして、品目の価格を保持しているテーブル。
評価レベルというのは、下図のイメージの通りほぼプラントを指すと考えて良い。


評価タイプというのは、同じ品目でも評価額を分ける場合に使用できる。(例:新品と中古品で、品目は同じだが評価を分ける)

このMBEWテーブルには標準原価を保持しているのだが、標準原価は一定のタイミングで常に見直される。
標準原価を更新する度に、MBEWの値も更新される。

・テーブル:MBEWH
MBEWHは、MBEWのテーブルキーに加えて、年度と月がキーに加わる
過去の月末時点での標準原価が格納されている。
過去月の金額が書き換わることはない。

過去のある時点の標準原価を確認したい場合は、このテーブルを活用して調べる。

テーブル:MBEW,MBEWHの更新手順

MBEWの更新タイミングは、標準原価が更新されたタイミングで更新される。
一方、MBEWHのテーブルはいつ更新されるかというと、「年/月」が入っていながら毎月更新されるというわけではなく、下記のロジックにて更新されていく。

・現在の状態
まず初期状態として下図の状態があるとする。


このとき、品目「M000001」の現在の標準原価は100 JPYとなっている。

MBEWの年度及び月は2020年5月を示している。これは、2020年5月以降、この品目・保管場所で在庫移動が起きていないことを表す。
つまり100 JPYというのは5月末時点の標準原価でもあり、現時点の標準原価でもある。

・標準原価更新
標準原価の変動要因は様々であるが、原材料の価格変動や工程の効率化などで「スタンダードとすべき原価」が今月、95 JPYに変動したとする。
現在月は10月として、標準原価更新が起きるとシステムはまずMBEWの年度/月と現在月を比較する。
年度/月が等しくない場合に、MBEWHが更新対象となる。
MBEWの年度/月は2020年5月で、今回新たに10月の標準原価が更新されたので、システムは更新前の価格をMBEWHに退避する。

次に、MBEWの標準原価が最新の金額に更新され、年度/月は2020年10月に書き換わる。

このようにして、MBEWHには履歴が退避され、同時にMBEWが更新されるという関係になっている。

過去のある時点での標準原価を取得するには

例えば、下図の状態において「2020年6月の標準原価を知りたい」となったら、どのような手順で求めればよいだろうか。

手順としては以下の通りとなるだろう。

手順1.
まずMBEWの年月を検索する。検索年月≧MBEWの年月であれば、そのMBEWの標準原価を採用する。今回はMBEWは2020年10月を示しているので、条件に合致しない。
手順2.
上記1で条件に該当しなかった場合は、MBEWHを検索する。
この際、検索年月より若いMBEWHの履歴をすべて一緒に取得すること。
検索年月でMBEWHのレコードがあるとは限らないためだ。
手順3.
MBEWHに、検索年月に該当する年月のレコードがあるのであれば、それを目的の標準原価として採用する。
手順4.
MBEWHに、検索年月に該当する年月のレコードが無い場合は、検索年月より最も近く新しい月の標準原価を採用する。

図の場合で言えば、「2020年6月」の履歴レコードは無いので、それより新しくかつ最も近い「2020年9月」のレコードを採用する。

この手順を用いれば、アドオン中でも過去時点の標準原価履歴を取得するロジックを組むことが出来る。

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