SAPの伝票上には多数の日付項目がある。伝票日付や転記日付については、多くのモジュールで共通している概念なので知っている人も多いと思われる。
今回はFIの会計伝票上に存在する各種日付について、その用途や意味を解説する。
会計伝票の日付項目解説
伝票日付(BKPF-BLDAT)
会計伝票の日付を指定する。
この日付は任意に決定して良いので、運用次第だがどのような日付を指定しても良い。
転記日付(BKPF-BUDAT)
会計伝票がどの勘定月に属するかを決定する日付。
この日付は厳密に運用しなければならない。
例えば、会計締めが既に完了している月には転記することは出来ない。
また、10月に実施した取引なのであれば、10月中の転記日付で計上しなければ、会計上の整合性が失われてしまう。
(どうしても決算に間に合わない場合のみ、翌月に転記する。期限ギリギリあるいは期限過ぎに領収書を持っていくと経理の人に怒られるのは、取引きの属する月が重要であるため)
換算日付(BKPF-WWERT)
為替レートを採用する日付。
為替レートはテーブル:TCURRに格納されており、有効期限を持つ。
日付によってレートは変動するので、どの日付のレートを参照するかを換算日付から決定する。
支払基準日(BSEG-ZFBDT)
その名の通り支払いのための基準となる日付。
支払というのは、購入した即日に行われるわけではなく、多くの場合は掛け金として後日支払うこととなる。
この「後日」が何日間であるか、というのを「支払いサイト」という。自分が支払う側であった場合は、支払いサイトは長ければ長いほど良い。(キャッシュフロー上有利になる)
この支払いサイトは「支払条件」のカスタマイズにおけるパラメータで定義できる。
支払条件において、支払基準日を決める主なパラメータが「期限」「固定日」「追加月」となる。
「期限」は支払いの締め日を意味し、「固定日」は支払基準日の日付を、「追加月」は何か月先の月を支払基準日として提案するかを決定する。
例えば「20日締め、翌月末払い」の支払い条件とする場合は、以下のように定義しておく。
・期限:20日
・固定日:31日
・追加月:1か月
この支払い条件にて、債務伝票を10月10日に転記した場合、支払基準日は11月31日となる。
支払条件については以下の記事で詳しく解説している。

支払期日
支払の期日となる日付。
支払条件のカスタマイズで「支払基準日からの日数」を指定している場合、支払基準日+該当の日数=支払期日となる。
支払期日はデータベース上の項目として持っているわけではなく、都度計算で出るもの。
消込日付(BSEG-AUGDT)
会計伝票明細は、消込処理を行うことで残高を解消し、その消し込んだ日付が記録される。
例えば債権明細や債務明細などは代表的な消込処理の対象明細だ。
債権は得意先からお金を貰う権利なので、支払われたタイミングで当然その権利は消滅する。
いつまでも権利のままでは不良債権となってしまう。
支払が起こったらその分現金が入ってくるので、現金が入った事実を以て債権の消込を行う。
消込日付には、その消し込みを行った会計伝票の「転記日」が記録される。
消込入力日(BSEG-AUGGP)
上記の消込日付と並んでおり紛らわしい項目ではあるが、消込日付=転記日だったのに対し、消込入力日は消込を行った会計伝票を登録したシステム日付となる。
・消込日付(BSEG-AUGDT) =転記日
・消込入力日(BSEG-AUGGP) =システム日付
会計伝票登録日(BKPF-CPUDT)
システム日付としての伝票登録日。
これは自動的にサーバーの時計から設定される。
変更日(BKPF-AEDAT)
会計伝票を更新した際に、システム日付が設定される。
最終更新日(BKPF-UPDDT)
「変更日」とはまた違うのでややこしいのだが、限定的な条件下で更新される日付。
例えば未転記伝票のワークフローを削除した際に、削除したシステム日付で更新される。
したがって「変更日」よりも前日付が「最終更新日」となる場合もある。
F1ヘルプで出る解説文によると、あくまでワークフローなど「システムによる」最終更新日ということのようだ。
その他
実はまだまだBSEG上にも日付項目が存在する(要件次第で使わないモノも多い)。
これらは順次更新で解説していきたい。
起算日(VALUT)
期日(ANFAE)
振出日(BSED-WDATE)
保険日付(VRSDT)
通関日(ZOLLD)
計画日(FDTAG)
資産評価日(BZDAT)
参照日付(DABRZ)
最終調整日付(LINFZ)
税対象日(TXDAT)