【SAP基礎知識】SAPにおける会計期間締め(FI、MM、COついでに固定資産)

SAP FI

SAP会計期間締めの概要ーはじめにー

期間締めの種類

当記事では、FI会計締め、MM品目締め、CO期間締め、固定資産会計年度について紹介する。

・FI会計締め(Tr:OB52)
・MM品目締め(Tr:MMPV、Tr:MMRV)
・CO期間締め(Tr:OKP1)
・固定資産会計年度の開閉(Tr:AJRW、Tr:AJAB)

期間締めの意味

SAPにおける会計期間締めとは、期間(月)における実績を確定(決算)させた後に、それ以上実績が変動する転記を行う事を制限するために、当該の会計期間を締め切ることを指す

SAPは期間ごとに締め処理を行うことで、前期間(あるいは未来日付)の実績入力を制限している。
前期間への実績入力とは具体的にどういうことか?この理解のためにはまずSAPにおける転記日の概念を知っておく必要がある。

転記日とは

SAPの伝票には通常、代表的な日付項目として「伝票日付」と「転記日付」がある。
伝票日付は、カレンダ登録がある限り、どのような日でも指定できる。
100年後に予定されている取引なら2120年5月20日を指定しても良い。

一方、転記日付とは、その取引がどの会計期間に属するかを決定する日付である。
例えば売上であれば、転記日を4月に指定するのか5月に指定するのかで、その売上がどの決算月に属するかを決定する。転記日付というのはある程度厳密でなければならず、その取引が属する月でしっかり計上しなければならない。月々の実績が正確に把握されないと会社業績が見えにくくなる。
また、本来属する取引月とは別の月に「寄せる」ことで、ある月の成績を恣意的に良くしたり、悪くしたりといったことも可能になってしまう。

【転記日とは】
・伝票日付とは違う
・会計上、その取引が何月に属するかを示す
・ある程度厳密に入力が必要

ちなみに、発注伝票や販売伝票といった、保存しても会計仕訳を生成しない(実績伝票ではなく手配伝票)は、「伝票日付」はあるが「転記日付」を持たない。

前期への転記制限

期間とは通常、月を表し、今月が今期、前月が前期である。
たとえば現在5月であるとして、4月の期間締めを行った後は前期(4月)に対する実績転記は出来なくなる
実績とは、売上、売上原価、債権、債務といった会計仕訳を伴い取引を帳簿上に記録(転記)する必要があるもの全般を指す。
期間締めを実施した後は、これらは転記日を前期(4月)に指定して入力を行うことは、原則的に不可である。

なぜ期間締めが必要なのか?

会社というのは通常、月々の実績を都度確定させ(月締め)、当月の実績を把握している。月々で把握せず年単位での把握としていた場合、いつのまにか運転資金がショートしかけているのに気づかなかったり、収益が悪くなった時の方向転換が遅れるか、そのまま潰れてしまうだろう。
このためにも月々の実績把握は重要なのだが、一度確定させた実績は、容易に動かすわけにはいかない。よって、すでに確定させた月には、それ以上実績を入力できないようにする必要がある。これが期間締めである。

期間締めを行った後は、前月以前の転記日を指定した実績入力を行っても、転記日付エラーとなり入力できない。

FI会計締め(Tr:OB52)

FI会計期間を操作するのがTr:OB52から入る画面。
財務会計上の期間オープン・クローズを行うもの。

FI会計期間締めの一般的な運用

どこの会社でもだいたい、月締め(決算)を月初第二営業日や第三営業日までに実施する。
例えば、6月3日までに5月の決算(月締め)を終わらせるといった具合。
つまり、月初は5月と6月の両方の会計期間が開いている必要がある。

取引の発生からシステム入力までは、通常はタイムラグがあり、仮に5月末日の夜12時に5月の期間を締めてしまった場合、本来5月で登録すべき取引実績が大量に取り落とされてしまう。月末に近い日付で取引された実績というのは、様々な都合により、全部が確定し入力し終わるまでに時間を要するので翌月第二営業日や第三営業日までずれこむのだ。

6月の月初第二営業日や第三営業日までに、5月転記日であるべき取引をすべて入力し、決算を行う。
一方、すでに6月に入っているわけだから、6月転記日の取引も入力可能であらねばならない。
この5月と6月の両方が開いている期間のことを「並行期間」という。

並行期間においては、下図のように開始期間を5月、終了期間を6月としておく。

決算が終わったのであれば、開始期間も終了期間もどちらも当月(6月)に変更し保存すれば、前期には財務会計に関わる転記が出来なくなる。

FI会計期間(Tr:OB52)の期間1、期間2とは

ところで、Tr:OB52には開始終了期間を入れる箇所が2ヶ所ある。
なぜ2ヶ所あるかというと、それぞれ用途が異なり、ざっくりと開始終了期間1は一般部門用、開始終了期間2は経理部門用、つまり会計締めを司る部門用で、限られた人員のためのものだ。

開始終了期間1:全社一般部門用
開始終了期間2:経理部門専用

右側に「権限」という項目があるが、SAPユーザIDに紐づいている権限ロール(権限オブジェクト:F_BKPF_BUP)に、この項目で設定されている値が割り当たっていれば、開始終了期間2の方で定義されている会計期間に基づいて、会計転記を行うことが出来る。
この権限は、経理部員のSAPユーザIDにのみ与えることにより、一般部門と経理部門の権限を分離する。

例えば、開始終了期間1の方では既に5月が締まっていたとする。他方、開始終了期間2の方ではまだ5月が開いているとする。すると、このような状況になる。
・一般部門のSAPユーザは、すでに5月での会計転記は出来ない
・経理部員はまだ5月の会計転記を入力できる

なぜこのようなことが必要なのだろうか?
経理部門というのは会計処理を行う専用部門であるから、一般部門から提出された経費の承認を行ったり、振替仕訳を起こしたり、各種調整仕訳を転記する必要がある。一般部門からの入力は、本締めの一日前くらいに締め切ってしまって、あとは経理部で行う会計処理のみを行うようにするため、このように開始終了期間1と2が分かれているのだ。
一般部門の締め切りを先に行っておかないと、いつまでたっても滑り込みの転記依頼が来てキリが無くなるだろう。

FI会計期間の開閉履歴

Tr:OB52の画面上部の【ユーティリティ >更新ログ】より、期間変更を行った日時・ユーザの履歴が確認できる。

変更履歴が存在していない場合、下記の設定を有効にする必要がある。
Tr:SE11 >DBテーブル:T001Bで照会 >技術設定 >「データの変更履歴作成」にチェック

チェックが入っているのにログが無いという場合は、(基本的にはSAPコンサルに相談した方が良いが)考えられる原因としてはSAPパラメータ「rec/client」の設定でテーブルロギングが有効ではない。Tr:RZ11から「rec/client」を紹介し、パラメータがALLまたはクライアント番号が指定されているか確認しよう。メニューの「編集」から値変更可能。

MM品目締め(Tr:MMPV、Tr:MMRV)

品目締めという概念がある。これは在庫移動の期間締めであり、この期間を締めた場合、在庫移動が不可となる。
Tr:MMPVを使用して、一期ずつずらしていくようなイメージで期間締めを行う。2つより多いの期間を開けることは出来ない。
Tr:MMPVで期間移動をした後も、トランザクションMMRVで「前期間に転記可能」フラグを設定しておけば、前期間でも転記可能。

品目期間締めの一般的な運用

基本的な概念は、FI会計期間と同一となる。
月初に当月の品目会計期間を開くために、Tr:MMPVにより品目期間をスライドさせる。
Tr:MMPVの画面上に指定するのは、たとえば今が5月で、これから6月にスライドさせるのであれば、月に「6」、年度に「2020」を指定すれば良い。

このとき、前期のマイナス在庫数量・マイナス在庫金額があるとエラーとなってしまう。マイナス許可のフラグを入れないのであれば、マイナス値となっている品目については解消をした上でないと期間移動が出来ない。
並行期間の間は「前期間に転記可能」フラグを付けたままにしておく。決算が終わったらこのフラグは外し、前期への転記は不可能となるようにする。

品目の移動には会計転記を伴う(転送以外の資産移動の場合)。したがって、品目期間が開いていても、FI会計期間が閉じていれば品目移動を実行しようとした際にエラーとなる。

非推奨な品目期間戻し(Tr:MMPI)

間違えて期間移動をしてしまったなど、やむを得ず期間戻しをしたいというときに、Tr:MMPIという品目期間戻し機能が用意されているが、これは端的に言って使わない方がよく、SAP公式も推奨していないように思う。
安全機能として、操作するユーザIDは、ユーザ管理画面(Tr:SU01)で予めパラメータ「MMPI_READ_NOTE」およびそのパラメータに日付(YYYYMMDD)を指定しておく必要がある(どうしても使う場合、このワンステップを入れて、間違いでの実行を防いでいる模様)。ちなみに日付は当日日付を入れておこう。
その状態でTr:MMPIを実行すると、期間を一つ戻すことが可能。やるときは自己責任で実施し、検証機での操作ミスで期間を戻すときなどに活用しよう。本番機で実行しても何の保証もない。

CO期間締め(Tr:OKP1)

CO(原価管理)モジュールにも、期間締めがある。
こちらはチェックボックスが期間ごとに並ぶような画面レイアウトとなっている。

配賦やFIからCOへの転記、バックフラッシュなどといった、CO機能(トランザクション)ごとに転記する/しないを制御できる。
ただし、通常は「期間ロック」ボタンで一気に当月の全トランザクションをロックしてしまう。
ここを細かく制御している会社は今のところ見たことがない。

固定資産会計年度の開閉(Tr:AJRW、Tr:AJAB)

基本的な考え方はFI会計期間と同じだが、こちらは年単位での開け閉めとなる。
毎年、12月末に固定資産の次年度オープン(Tr:AJRW 資産会計年度変更)を実行する。
年明け、前年度の会計締めが完了したら(FIの12月締め完了後)、前年度のクローズ(Tr:AJAB 固定資産管理の年度末処理)を行う。

前年度のクローズについては、固定資産の中で償却計算エラーになっているものなど、なんらかの固定資産未償却額が残存している場合にクローズが出来ずエラーとなる。

より詳しく学びたい人へ(参考書・専門書紹介)

・図解入門 よくわかる最新SAPの導入と運用

どちらかというと初学者向けの参考書がこちら。SAPの各モジュールを広く学習したい時にはおススメ。

・SAP FI FINANCIAL ACCOUNTING ERP ECC6, R/3 4.70 (English Edition)

日本語の専門書は残念ながら無いのが現状だが、英語媒体であればこちらのようにいくつか選択肢がある。
技術者として海外の専門書と格闘するのはある意味よくあることなので、研究のためならば一冊購入するのも視野に入れていいと思われる。

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