【SAP共通】知っておきたい換算レートの知識と設定方法(為替レート)

SAP FI

換算レートとは通貨同士の交換比率のことで、SAPでも国際取引を入力することが多いので、会計、購買、販売など全般的なモジュールに関わる重要な設定となっている。

今回は為替レート設定に関連する知識をまとめる。

換算レートの知識・設定方法

換算レート入力(Tr:OB08)

Tr:OB08を実行することで、換算レートの入力を行うことが出来る。
換算レートを細かく管理している企業もあれば、月ごとの標準レートを決めて月内の取引は一つのレートのみを採用し、メンテ工数を抑えてるという企業もある。

入力画面は以下のような項目を持つ。

・換算レートタイプ
換算レートタイプにより、換算時の用途・目的に応じて、通貨間で複数の換算レートを持つことを可能としている。Tr:OB07から設定する。

・有効開始日
該当の換算レートが有効になる日付。有効日以前の取引には、過去の換算レートが採用される。
有効な換算レートがありません」というエラーを目にしたこともある人も多いだろう。
このエラーを見たら場合はTr:OB08からレート登録しよう。

・間接呼値
換算の方式には直接方式と間接方式の二つがあり、方式に応じて換算レートの値に直接呼値または間接呼値を入力する。換算方式に関しては後ほど詳しく解説する。
この項目には間接呼値を設定する。
換算方式を直接方式としている場合、この項目の入力は出来ない。

・直接呼値
この項目には直接呼値を設定する。
換算方式を間接方式としている場合、この項目の入力は出来ない。

・係数(前)、係数(後)
換算方式を直接方式としている場合、「1」が固定で入っており、変更できない。
換算元通貨「1」単位に対し、換算先通貨「1」単位に変換するためには、

換算方式を間接方式としている場合、空欄となる。

換算レートのテーブル(TCURR)

入力した換算レートはテーブル:TCURRに保管される。
換算レートを一覧で出力したい時、特定の通貨のみを抽出したいときなどは、このテーブルから出力すると便利だ。

Direct方式/Indirect方式の切替(Tr:ONOT)

直接換算方式/間接換算方式の切り替え設定というものがある。
Tr:ONOTから、「換算元通貨」「換算先通貨」「有効開始日」ごとに、
【1 直接呼び値】または【2 間接呼び値】を選択する

これはどのような設定かというと、換算レートの数値を入力する時、どちらの通貨が分母でどちらの通貨が分子としたときのレート値なのかを定義する設定だ。

英語ではDirect/Indirect methodと呼ばれる。

・方式による入力レート値の違いの例

換算元通貨:JPY
換算先通貨:USD

直接方式ではJPY/USDとして計算した際のレートを、Tr:OB08から入力する。
間接方式ではUSD/JPYとして計算した際のレートを、Tr:OB08から入力する。

・Tr:ON08でのレート入力

Tr:OB08の項目で説明した通りだが、画面上に間接呼び値と直接呼び値の項目があるので、どちらかに入力を行う。
ちなみに、先にTr:OB08で直接方式にてレート設定した場合で、あとからTr:ONOTにて間接方式に切り替えた場合、該当の換算レート数値が赤い時になり、エラーを吐くので、呼び値の切替え忘れがあればそこで判別できる。

換算レートの配信(IDoc)

換算レートを保持するマスタシステムをあらかじめ決めて、周辺システムに配信するという仕組みを採用する企業もある。
SAPは基幹システムとして据えられることも多いので、配信の仕組を知っておくと便利だ。

TCURRからダウンロードしたデータをベタ貼りしてFTPでファイル送信、というのも一つの方法だが、SAP同士あるいはSAPアダプターを持つシステムへの配信であればIDocによる配信を採用することで、構築工数を削減できる。

・換算レートのメッセージタイプ

メッセージタイプは「EXCHANGE_RATE(外貨レートのレプリケーション)」を使用することが出来る。

IDOC設定の方法は以下記事の通り。(メッセージタイプの箇所を読み替えれば、換算レートのIDoc配信設定を進めることができるはず。)

【SAP技術者向け】IDOC設定方法まとめ
この記事では、IDOCの設定方法および接続設定に関する解説をする。 IDOCとは、SAP環境同士でデータ連携を行うための仕組み。 送信元SAPシステムはあらかじめ定義された構造体に対し値を格納し、相手先SAPシステムに渡す。相手先SAPシステムは、予め同一の構造体を用意しておき、値を受け取る。

分散モデル設定の箇所のみ、少し設定が異なる。
「メッセージタイプの追加」ではなく「BAPI追加」を選択し、以下を入力する。

Object名/Interface:ExchangeRate
Method:SaveReplica

・IDoc配信のトリガ

プログラム:RFALEX00を実行することで、換算レートを配信できる。

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