「SAP FI領域の担当になったから経理業務の知識が欲しい」、あるいは「担当外ではあるがFIに関わる範囲の業務知識を得たい」という声は多くある。
ほとんどのSAP FIコンサルは経理部門に所属したことなどは無いはずで、たしかに実務を知る手段というのは限られており書物などからそれを知るしかない。
今回はその中でも業務理解のために特に重要な本についてご紹介させて頂きたい。
なお、多くの本をパラパラと読むよりも、本当に必要な事が書かれた本を少数保有しておく方が有効だと考え、今回はご紹介する本の数を厳選し、3冊のみとする。
SAP FI担当者が業務理解のために読む本
財務3表一体理解法
会計の仕組みを知るという事に関しては、今まで読んだ中では最も分かりやすく、そして大事なことが過不足なく詰まっている書物と感じた。
SAP FIは会計の仕組みの体現であり、個々の機能理解よりもまずその背景にある考え方の理解を優先するべきなのだが、この一冊でそれは実現できてしまうと言っても過言ではない。
「簿記の勉強をしなくても会計の仕組みがわかる」と銘打たれている通り、簿記の知識を前提としなければ読めないという代物ではなく、むしろ前知識ゼロからでもスタートし、会計の美しい仕組みに触れて理解することが出来る。
また、既に会計を勉強済みの人でも、読んでいて「なるほどそうだったのか!」と感動する内容が多い。それでいて分かりやすく書かれているので、抵抗なくスラスラ読めてしまう。
各種ブックセールスランキングからも、様々な業種・様々な立場の人から永年支持を得ているのがわかる。
とにかくまずはこれを読もう。
花王の経理パーソンになる
有名なメーカー企業である花王を知らない人はいないと思うが、この本は花王に経理部の新入社員として入社し、6年間を過ごすうえで学んでいく会社経理の知識と実務について書かれた本だ。
制度会計、管理会計、財務(資金管理)といった会計分野のうち、この本では半分以上の内容が管理会計で、残りが財務に関わる内容となっている。
これだけ聞くと、管理会計ならFIではなくてCOでは?と思われるかもしれない。(ちなみに資金管理はTRモジュール)
しかしながら実際にメーカー経理の顧客相手にヒアリングする際には、FIとCOできっちり切り分けた会話をしてくれるとは限らない。
もちろん我々も単なる御用聞きではないので、論点整理しつつ顧客と会話することも重要なのだが、要件定義やヒアリングでは多種多様な話が上がるので、部分的に理解が出来ないところが発生すると、途端に仕事が難しくなる。
FI/COという区別が先にあるのではなく、まずは制度会計、管理会計、財務(資金管理)を俯瞰的に考えられる視点を得て、それからSAP FIコンサルをする、という考え方をした方が良い。
『花王の経理パーソンになる』は、新入社員から6年目社員に至るまでの実際のキャリアに基づいて描かれているので、内容も馴染みやすく、それでいて勉強になる。
「経理」の本分
経理業務とは何か、経理業務とはどうすべきかといった話を原則論に基づいて整理している。
経理部の存在意義からはじまり、経理部の日常業務、決算業務、そして経理部員としての価値向上について書かれている。
「上場企業の経理部に配属された人が最初に手にすべき本」を想定している本であり、実務に携わる人々のための本となっている。
原則論に基づく整理というのは非常に重要だ。
システム(SAP FI)も同じく原則を踏まえたデザインがされていることが前提となるし、あるいは顧客がどのような原則論に基づいて考えているのかをまず把握できていないと、スタートラインに立つのも難しい。
【本を買うなら電子書籍がおススメ】