【SAP CO知識】照合転記について分かりやすく解説

SAP CO

照合転記(Reconciliation with FI)は原価センタ間配賦の後工程として行う、COモジュールからFIモジュールに対する調整転記のことで、通常は決算工程の一部を構成する。

今回は照合転記について解説する。

照合転記について分かりやすく解説

照合転記とは

トランザクションの英語名称が”Reconciliation with FI”となっている通り、照合転記(Tr:KALC)は「FIとCOの調整を行う転記」という意味を持つ

原価センタ配賦を行うとき、配賦元の原価センタと配賦先の原価センタで機能領域が異なる場合、機能領域毎の転記金額がFIとCOでズレが発生するため、CO処理結果に基づいたFIへの調整転記が必要となる。

しかし「機能領域毎の転記金額がFIとCOでズレが発生」とはどういうことだろうか?
まず機能領域とは何かについて整理したうえで、次節の「照合転記の具体例」にて分かりやすく説明し、なぜ「配賦の後工程」として照合転記が必要なのかを明らかにする。

・機能領域とは
機能領域は、費用の性質を表すコードのこと
費用の性質とは、「製造原価」「一般管理費」「販売費」「研究開発費」といったもので、こうした費用性質ごとに機能領域のコードを割り当てる。財務会計において損益計算書を作成するために使う。

機能領域は、原価センタマスタを構成するパラメータの一つでもある。
加工部門や組み立て部門の原価センタであれば、そこで発生する費用は主に製造原価なので、「製造原価」の機能領域を付与する。
研究開発の部門であれば、「研究開発費」の機能領域を付与する。

・配賦とは
配賦処理については以下記事で解説しているので、こちらを参照。

【SAP CO知識】実績配賦/計画配賦について分かりやすく解説。配賦周期、セグメントとは?
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照合転記の具体例

まずFI伝票で、製造経費(間接費)の計上3,500円が起票され、その費用明細はある製造部門(原価センタA)が指定されていたものとする。
原価センタAの機能領域は「製造」となっており、COから見ると原価センタに該当の製造間接費3,500円が賦課された状態となっている。

CO領域の中では、決算時に原価センタAから原価センタB(加工部門)と原価センタC(研究開発部門)に配賦を行う。

原価センタBの機能領域は原価センタAと同じ「製造」だが、原価センタCの機能領域は「研究開発費」となっている。
この時点で、FIモジュールで転記した機能領域「製造」に対する3,500円は、COモジュール内では「製造」2,500円と「研究開発費」1,000円に分かれており、FIとCOで差が出ている

この差に対し照合転記にて調整を行う
照合転記を行うことで、FIモジュール内でも機能領域間の振替転記を行う。
(1,000円の差異を機能領域「製造」と「研究開発費」で振替)
こうすることでFIとCOで整合する。

照合転記のカスタマイズ

照合元帳の有効化(Tr:KALA)

この画面では管理領域と伝票タイプ設定を行うことで、照合転記の有効化を行う。

定義:照合転記の調整勘定(Tr:OBXN)

照合転記を実行する時に用いる、調整用の振替勘定を指定しておく。

照合転記の運用

照合転記の実行(Tr:KALC)

Tr:KALCより、会計期間と管理領域(または会社コード)を指定し、照合転記を実行する。
指定条件の期間内で配賦されたデータを対象にした照合転記を行うので、前提条件として原価センタ配賦が完了していることが必須となる。

照合転記が完了した場合、結果画面の「照合転記:照合転記済み原価フロー照会」にて実行結果にエラーが無いことを確認する。

照合転記の取消(Tr:KALS)

照合転記結果に誤りがある場合は、照合転記を取り消す。(照合転記を取り消すのは、多くの場合、配賦の方に問題があるケース)
Tr:KALSより、会計期間と管理領域(または会社コード)を指定し、照合転記取消を実行する。

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