中小企業診断士ってなんだか難しそうですね。
資格系のサイトなんかでは難関資格に分類されています。
確かに難しいが、的確に攻略していくことにより、決して無理ゲーというものではなくなる。
攻略法があるんですか?
いったん、診断士資格がどのような試験制度で運営されているか見てみよう。
中小企業診断士試験ってどんな試験?難易度、勉強時間、攻略法を解説
中小企業診断士の試験制度と難易度
中小企業診断士試験は、経営に関わる各分野の知識を問い、またそれを活用することが出来るかどうかを試される試験だ。
中小企業診断士試験は一次試験、二次試験(筆記)、二次試験(口述)で構成される。途中で落ちたらもちろん次の試験には行けない。
おお!?3段階もあるとは大変ですね。
まあ3段階目の口述試験というのは面接なんだが、ある意味儀式みたいなものなので、実質2段階試験だ。
口述試験の不合格者はゼロだった年も普通にある。
要するに山場はすべて一次試験と二次試験(筆記)に集中している。
一次と二次(筆記)はどんな試験なんですか。
まず一次試験はマークシート式で、二次試験は記述式だ。
おー。大学受験みたいですね。大学受験もマーク式のセンター試験と、筆記試験がありますから。
そうだな、一次試験は2日制というところもセンター試験と似ている。
まずは一次試験について解説しておこう。
一次試験について
一次試験は7科目で構成され、土曜日・日曜日の2日制で行われる。
……へ?
どうした、ペンちゃん?
7科目もあるんですか?めっちゃ大変……。
まじで大学受験並みの科目数です。
先ほども言ったが、中小企業診断士試験は「広く浅く」が求められる。
科目数はその表れだな。
どんな科目があるかは以下に記載するぞ。
・経済学
・財務会計
・企業経営理論
・運用管理
・経営法務
・経営情報システム
・中小企業経営、中小企業政策
おおお、7科目も並ぶと威圧感がすごい……。
いずれも企業経営にとって欠かせないものだ。
例えば企業経営理論とは何を学ぶものなのでしょうか?
マーケティングや多角化戦略に係る知識、製品のライフサイクルやポートフォリオに関する知識、組織運営に係る知識などだな。
なるほど、結構面白そうですね。
実際に企業経営理論は好きな人が多く、ビジネス書などをよく読んでいる人なら一度は目にしたことがある論点が多いと思う。
他には、運用管理ってなんでしょう。
店舗管理や生産管理・流通管理などの企業運営のオペレーションに係る全般的な知識を学ぶ。非常に幅広く、予備校の教科書なども一番ぶ厚くなりがちな科目だな。
なるほど。あ、経営情報システムなんてのもありますね。
これはきっとIT系の科目です。
その通り。いまやITは企業経営の基盤として欠かせない。経営に関するアドバイスを行うのであれば、IT知識は必須と言えるだろう。
ぼくでも取っ付きやすそうな科目もあるし、一方で経済学みたいな全然縁遠い科目もありますね。
試験範囲が広いので、受験者は誰でもそのような印象を受けると思う。
普通の人は営業なら営業、購買なら購買で一つの領域で仕事をしているものだから、7科目もあると当然いままで縁がなかった領域に触れることになる。
うう……これは難しそうだ。
たしかに各科目で難しい論点も多数出てくるが、決して凡人には不可能というものでもない。
一次試験の合格基準は各科目60点以上となっているので、試験範囲の6割理解していれば合格することが出来る。また、単科で60点を下回っても、他科目で60点以上取っていれば、不足分を補うことが出来る。ただし下限は40点だ。40点を下回る得点の科目があったら一次試験不合格、科目合格には60点必要だが、下回った場合でも他科目で挽回可能。
さらに、60点以上取って科目合格した場合、合格実績を来年の試験に持ち越すこともできる。
なるほど、得意科目で高得点を取って苦手科目を補ったり、翌年に科目毎の合格実績を持ち越して再チャレンジも出来るんですね。
その通りだ。それらをうまく利用し、自分なりの合格への戦略を立てることが出来る。
一次試験の合格率はどのようになっているでしょうか。
平成30年度の結果を見ると、13,773人が受験(全科目を受験)し、3,236人が試験を通過している。
合格率は23.5%だ。例年、だいたいこれの±3%くらいで推移しているな。
5人に一人しか受からないなんて……しかもまだ一次試験ですよね、これ。
そうだな。さらに、「1科目でも受験した人」の人数は16,434人となり、この人数ベースでいうと合格率はさらに下がる。
「1科目でも受験した人」とはどういうことでしょう。なぜ全科目受験しなかったんでしょうか。
全科目受験していない人は、以下のような人たちだろう。
・前年からの科目合格を持ち越した人
・今年で科目合格を取り、来年に持ち越そうとした人
・体調不良等の都合で欠席した人
ちなみに、申し込んだけど受けなかった人もいる。
申込数の総数は20,116人だな。
二万人も申し込む試験なんですね。全国から、ビジネスに対する意識高い人が二万人……。
幅広い業種から受験する資格だと聞きました。年齢別も最多層が30~39歳、次いで40~49歳が最も多いんですよね。
そうだな。だが、怖気づくことはない。試験というのは常に自分との戦いだ。
どんなに受験者数が増えようと、合格点を取ったものが合格するのだ。
さて、次に二次試験について詳しく見ていこう。
二次試験について
一次試験にめでたく合格したら、次は二次試験ですか。
そうだ。二次試験は筆記試験となっており、与件文を読んだうえで、短答式から400字程度までの文章筆記による回答を行う。
与件文?
与件文とは、問題回答の前提となる文章の事で、今まさに企業診断をしようとしている中小企業の事が書かれている。いままでその会社辿ってきた歴史沿革、その企業が強みとしているもの、企業を取り巻く環境とその時代による変化、企業が現在抱えている課題などについて、2ページほどにわたり記述されている。
中小企業診断士が、企業の社長にヒアリングに行って集めた情報を基に、いままさに企業診断を始めようとしている状況、というのが二次試験の内容だ。
おお、すごいですね。実践形式みたいです。
与件文に登場する企業は、実名は出ていないものの、実際にモデルがある企業が多いとされている。
二次試験は面白そうですね。
そして、二次試験は以下の4科目だ。
・組織、人事
・マーケティング、流通
・生産、技術
・財務、会計
よ……4科目……。一次試験と合わせると11科目……。
実際に科目数は単純加算というものではなく、一次試験で学んだことを総合的かつ応用的に活かせるかを問うのが二次試験だ。
なるほど、よく見たら財務会計って一次の科目にもありますね。
一次試験で知識を試され、二次試験で実践力も問われるわけですね。
しかも文章筆記なんですよね。自由筆記の回答を、どうやって採点するんでしょうか?
企業経営の改善案なんて、いろんな提案内容がありえそうですよ。
実際には、自由筆記という類のものではない。
国家試験だからな。採点の際の基準が厳密に定められていなければならない。
与件文と問題文をよく読み、理解することで、一次試験で学んだうちのどのようなフレームワークを用いて解答すれば良いかが自ずと絞られるように計算された試験問題となっている。
なるほど。出題者がどう答えさせたいかを読み取るのも重要な試験なんですね。
国家資格なら公平な採点が求められると思いますから、独創的な答えではなく、国家資格ということを踏まえてどういった枠組みで答えればいいかを考えるんですね。
その通りだ。だが、残念ながら採点基準は公開されていないので、細かい所はわからない。完答でなくとも部分点をもらえるとも言われているし、NG回答を入れたら一発アウトと言っている予備校もある。開示請求をすれば自分の試験結果の点数だけは教えてもらえるので、そういった結果と再現答案から色々採点基準が研究されている。
なるほど……採点基準がわからないとなると、難しいですね。
さっきも言ったがあくまで国家試験なので、よく与件文と問題文を理解することで、則るべきフレームワークが見える場合もある。あと、合格者の答案を集めた「ふぞろいな合格答案」という書籍も出ているぞ。これを見ると、合格者の答案はとてもまとまっていて過不足のない回答だということがわかる。中小企業診断士の二次試験を受けるうえでは絶対に必要な本だといえる。
そうなんですね。どこで買えるんですか?
前年度の分は大きい本屋に行けば売ってると思う。それより前のものは絶版になってしまうので、入手が大変だ。
受験した時は、アマゾンのマケプレで数万の値が付いてたのを買ったぞ。
高い!?
しかたない。中小企業診断士の2次試験を受ける人のためのニッチな本だから、発行部数が限られるし、次年度以降の受験者が欲しがるのでプレミアがつくのだ。
今年分のを買っておいて、3年後に売り捌く商売が成立しそう……。
やめときなさい……。
二次試験の合格率はどうなっているんでしょうか。
平成30年度の申込者数は4,978人、受験者は4,812人だな。苦労して一次試験を突破して得た二次受験資格だから、申込みに対する受験率は非常に高い。
そして、実際に二次試験に合格した人は905人だ。合格率は18.8%となっている。
え!?元が5,000人近くいて、1,000人も合格できないんですか。
そうだな。一次試験の合格率が23.5%、二次試験の合格率が18.8%なら、単純な掛け算で約4.4%となる。
全体で5%弱の人が試験に通れるということだな。
なんという狭き門……。
そんな門をくぐることが出来る人は、きっと選ばれた人たちなんでしょうね……。
何を他人事みたいに言っているんだ。
ペンちゃんも明日から勉強するんだぞ。
えー!?なんでそんなことが決定しているんですか!?
思い立ったら、有益な情報を聞いたら、すぐ行動だ!
今日はわたしがここまで教えてやったのだから、ありがたいと思ってすぐに人生を変える行動を起こせよ。
強引だなあ。
「良い話を聞いたなあ」では終わりにさせないぞ。
これは「選ばれた者」が合格する試験ではなく、「あきらめなかった者」が合格する試験だ。
さあ、明日すぐに予備校の一年コースに申し込んで来るんだ。
本屋とかに申込み用紙付きのパンフレットが置いてあるぞ。
学校にもよるが、授業料はだいたい20~25万くらいだ。
えー……薄給のぼくには高いかも……。
一年間予備校が面倒見てくれて、働き方も年収も仕事の評価も人生も大きく変わる資格を取れるかもしれない、と考えたらバカほど安いわ!
こんなに効率の良い投資は無いと主張したい。
スマホゲーの女の子には課金するのに、自分には投資しないのか?
女の子のパラメーターは上がっても、君自身の能力は上がらないぞ?
うわーん、スマホゲーは生き甲斐なんです(泣)
別にスマホゲーも続けて、勉強もすれば良いだろう……。
少しの間、課金を我慢するだけだ。女の子への課金がやめられないなら、自分の食費を削れ。
はい、これからは、もやしをまとめて茹でて冷凍して小分けにして食べます。
(課金はやめないのかよ……)
まあ、この資格は勉強するだけでも幅広い知識に触れることができ、それだけでも自分の働き方をどんどん変えていく効果があるはずだ。高いセミナーに参加するよりも、投資額は少なくて済むぞ。
わかりました。そこまで言うなら、本当に価値があるのだと思います。
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中小企業診断士の試験に必要な勉強時間
次に合格に必要な勉強時間についてだが、一般的には
1000~1500時間が必要
と言われている。
科目数が多いのでもしやと思っていましたが……やっぱり勉強時間は長いんですね。
仮に平日に1時間、土日に8時間勉強したとしよう。
その生活を一年続ければ、だいたい1100時間の勉強量になる。
一年間でのストレート合格を目指すとしたら、だいたいこれくらいの強度で勉強をすることになるだろう。
土日に8時間っていうのは結構辛そうです……。
予備校などに通うことで勉強のリズムを作ったり、自分で仕組みを作ることが必要だな。予備校は土日のどちらか一日を、朝から夕方まで講義に費やすことになる。自習で8時間を埋めるのは大変だが、講義を聞いていれば意外と8時間の勉強は堪えられるものだ。
まあ、たしかに学生の頃は朝から夕方まで授業聞いてましたからね。
中小企業診断士試験の攻略法
攻略法なんてあるんですか?
合格しやすくするための戦略なら、ある。
ここでは私が有効だと思う中小企業診断士資格の攻略法を説明する。
基本的な試験対策
中小企業診断士は7科目あるが、科目別にみると同等の別の資格が存在するものもある。
経営情報システムであれば応用情報技術者
運用管理であれば各種ビジネス検定
7科目一気に勉強するのは非常に大変だ。
なので、単価ごとの別の資格をいったん勉強しておくのが有効な手段となる。
この勉強法が有効なのには以下の理由がある。
先に簿記検定の勉強をしておけば診断士試験の役に立つし、そもそも仕事上の役にも立つので、それ単体で非常に価値がある行為となる。
なんと、応用情報技術者またはそれより上の高度情報処理技術者試験に合格しておくと、中小企業診断士の経営情報システムの受験が免除される。つまり通常の受験者が7科目受験すべきところを、6科目で済ませることが出来る。これはとても計り知れない効果がある。
試験免除についてはとても大切なので、丁寧に解説する。
一年(365日)での合格を目指す場合、一次試験の勉強にその6割(210日程度)を使うとしよう。(あとの4割は2次試験対策)
210日 ÷ 7科目 = 1科目あたり約30日 ということで、1科目に割ける勉強時間は30日であり、非常にハイペースな勉強が必要になる。
しかし、1科目少ない6科目受験で済むのであれば、他人よりも一か月だけ勉強時間の猶予が出来ることとなる。
この1か月は貴重で、その間に弱い科目や論点を補強したり、勉強疲れのための休憩期間に利用したりと活用できる。勉強を始めると時間こそが最も価値のあるものだということを思い知ることになるから、1か月の重みを実感することになるだろう。
また、試験当日においても相当な価値を発揮する。経営情報システム科目の試験は2日目の11時30分~12時30分に行われる。前後が経営法務と中小企業政策だ。
中小企業政策は、暗記科目だから、直前にノートを見返す時間があると非常に助かる。
試験免除を受けた場合、試験時間は試験会場から離れて自由行動することが出来る。近くのカフェにでも行って、11時30分から次の試験科目開始(13時30分)まで2時間の猶予が出来るということだ。
他人が昼休みの1時間のみしか休憩およびノートを見返す時間を許されていないのに対して、試験免除者は1時間多く、休憩と記憶を補強する時間を取ることが出来る。
周囲がマラソンをしている中、自分だけ車の中で移動しながら体力回復が出来るようなもので、試験当日に発生するメリットが非常に大きいものとなる。
「応用情報技術者」で免除してくれるという点も破格だ。例えば他の科目、財務会計の免除者になるにはなんと税理士以上の資格が必要だ。応用情報技術者と比べると凄まじいハードルの高さだ。おそらく、今後の中小企業の未来を考えた場合、IT系の知見を持つ人を少しでも多く合格させ、中小企業の支援をさせたいという狙いがあるのではないかと思う。
科目免除は是非、戦略に組み入れたい
なるほど……戦略的に資格を取っておけば、勉強期間中も、試験当日も、非常に有利に立つことが出来るんですね。
しかも経営情報システムは現役SEなどでも普通に難しいし、問題の難易度に波もある。ここのリスクを排除しておくのは戦略的に正しい。
ペンちゃんは、情報技術者試験は受けているのか?
情報処理技術者試験は半年に一回ありますが、会社に強制で受験させられてますよ。自費ですけど……。
まだ合格はしていないです。
ならばいい機会だ。応用情報合格目指してがんばれ。
うう……いっぱい勉強しないとなあ……。
というわけで、今回はここまでだ。
次回は合格後の流れについても簡単に話そう。
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