中小企業診断士の勉強はいつ始めればいいだろうか?
という疑問を持たれる方は多くいると思われる。
この疑問には2通りの切り口があるが、どちらも解説していきたいと思う。
②一年のうち、何月から始めるのが最適なのか?
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中小企業診断士の勉強はいつ始めればいいのか?
人生のうち、何歳くらいから始めればいいのか?
中小企業診断士はよく「おっさんばかり受験している」と言われており、たしかに受験者の年齢分布をみても40代以上が多い。
これは、管理職になると中小企業診断士など経営や会社に関わる知識を求められるため、会社から勧められたりする資格であることが影響していると思われる。
なるほど。そしたら40歳くらいになったらボチボチ資格取得を考えれば良いということでしょうか?
もちろん40代になってからの受験も推奨されるし、60代・70代の受験者もいたりする。そういう意味では何歳からでも構わないし、何歳になってもビジネスをやるかぎりは非常に価値がある資格だ。
しかし、ビジネスは先手先手を取ってより価値が出る。
もしこの記事を読んでいるあなたが20代・30代なのであれば、すぐにでも中小企業診断士の資格勉強を始めて良い。
20代から勉強スタートしちゃっても良いってことですか?
年齢制限や実務経験の要件などはなく、誰でも受けることができる試験だ。
さらには、20代後半というのは会社業務にも慣れてきつつ、自分の担当領域以外がよく分かっておらず壁にぶち当たるタイミングでもある。
普通の会社員は、数年かけてゆっくりその壁を乗り越えていく。
一方、中小企業診断士の勉強をすると、壁を一気にぶち破るような視界の開きを得る。
なるほど……つまり、20代後半でなんとなく仕事やキャリアにモヤモヤし始める頃に勉強すると、とてもいい効果があるってことですね。
そういうことだ。
中小企業診断士の試験勉強には、あらゆるビジネスマンにとって重要な知識や考え方のエッセンスが詰まっている。仕事でパフォーマンスを発揮できるようになり、人生が好転するきっかけを与えてくれる。
これを機に是非申込みを行って、人生を好転させるための勉強を始めてみたらどうだろうか。
中小企業診断士の勉強を始めるにあたっての、予備校やオンライン講座選びなどは、以下記事で紹介しています。
「勉強したら仕事でパフォーマンスを発揮できる」という話に、感覚的にあまりピンと来ない人も居るかもしれない。
だが、勉強を始めてみると、自分が仕事で感じているモヤモヤや、よくわからないので敬遠している分野の多くは、先人がすでに体系化しており、知るだけで仕事上の課題の多くが解決できるということに気付かされることになる。
知識がないときは、何か仕事上で課題や問題が発生しても「これは自分の直面した仕事固有の問題で、外の世界に解決方法を求めることが出来ない」と考えてしまいがちだ。しかし、そういう人ほど、勉強を始めてみると目から鱗が落ちることになる。
一年のうち、何月から始めるのが最適なのか?
一年のうち、どのタイミングで学習を始めるのが最適か疑問に思う方もいると思う。
まず一年間における中小企業診断士試験のざっくりした試験予定を紹介しよう。
・5月まで 一次試験申し込み締め切り(※年度によって締切日変動)
・8月上旬 一次試験
・9月まで 二次試験申し込み締め切り(※年度によって締切日変動)
・10月下旬 二次試験
・翌1月 口述試験
あのー、5月が申込期限ということですが、例えば「勉強を始めようと思い立ったのが締め切り直前。まだ全然勉強していないので、申し込んでも意味がない」と思った場合は翌年から受けるべきですよね?だってもう少し準備しないと……。
その考え方は間違っている。全く間違っている。ド貧民の発想そのものだ。すぐ捨てろ。きみは実にバカだな。
ひんひん……(泣)
そこまで言う?
5月時点で勉強ゼロでも、全く問題ない。これから始めればいい。
まず締め切りは5月だが、試験日程は8月頃となっている。
まだ試験日まで2か月ほどありますね。
中小企業診断士の試験は7科目。
予備校の勉強速度だと、だいたい1.5ヶ月弱で一科目を網羅して教えるようなペースとなっている。
つまり、5月から始めても最低でも1科目、うまくやれば2科目分の勉強ができるということになる。
なるほど……。でも、あとの5科目はどうすれば良いんですか。
中小企業診断士には科目合格制度がある。
前年度に合格した科目については次年度の試験に引継ぎができる。
1科目でも合格しておけば、次年度の試験は大きく有利になる。
・7科目フルでの受験に比べて、各科目にあてられる勉強時間に余裕が出来る
・試験当日に時間的余裕ができ、試験時間の枠を次の受験科目の復習にあてられる
・心理的余裕は段違い
今年度試験でどれかしらの科目を合格しておけば、次年度の試験で有利になるということですね。
その通り。運よく科目合格すれば次年度へ向けた大きな前進になる。
試験締切り直前期でも勉強をスタートさせて問題ないってことですね。
更には、予備校も年度の途中から学習をスタートさせる人のためのコースを揃えている。
初学者向けのスタンダードなコースは、一次試験の終わる9月から開講する場合が多いようだ。
しかし、年始あたりから学習を開始する人向けの「速習コース」なども用意されている。
要するに予備校はいつ始めてもOKなようにコースが組まれているってことですね。
さっき挙げた以外のタイミングで学習をスタートさせた場合、それまでに行った講義をビデオでキャッチアップする仕組みも整っている。
それなら安心ですね。
科目合格を狙う場合の話
科目合格狙いであれば、どの科目を受けるのがおススメでしょうか。
その説明の前に、まずは中小企業診断士一次試験の7科目を紹介しよう。
・経済学
・財務会計
・企業経営理論
・運用管理
・経営法務
・経営情報システム
・中小企業経営、中小企業政策
このうち、「経営法務」や「中小企業経営・政策」は年度ごとに改定される内容が多い。今年勉強したとして、仮に惜しくも落ちてしまった場合、せっかく勉強したのに次年度の試験に向けて知識を再更新しないとならない。
暗記が得意な人は、今年の科目合格を狙っても良いかもしれないが、個人的にはこれを狙うのはお勧めしない。次年度に回した方が良いと思われる。
一度勉強したら来年も使えるものを狙うのが良いんですね。
次に、「財務会計」もあまり短期勉強には向かない。これは試験対策というよりも、財務会計の知識は仕事に即効性をもって活かされるものが多いので、私としてはじっくり時間をかけて理解してほしいという思いがある。
逆に、すでに簿記を持っていたり経理担当経験があるのであれば狙ってみるのも良い。ただし、簿記二級相当と言われているが、意思決定会計の分野も多く含むので、そこはしっかりカバーして勉強しておく必要がある。
なるほど。
次に、「運用管理」だが、これも店舗運営や生産管理が主な内容であり、範囲が結構広い。
予備校の教科書を見ても、運営管理はページ数が7科目中もっとも多く、分厚くなりがちだ。これも分量的に短期決戦向きではない。
「経営法務」「中小企業経営・政策」「財務会計」「運用管理」は、短期勉強という観点では避けた方が良いんですね。
そしたら、残りの「経済学」「企業経営理論」「経営情報システム」から選ぶと良いということですね。
その通り。選ぶのは、それらのうちどれでも構わないと思うが、内容的には「企業経営理論」は割と身近なビジネス知識も多く、比較的楽しく勉強できるはずだ。「経済学」も、経済理論やグラフに抵抗がない人は結構楽しく勉強できると思う。
「経営情報システム」はどうでしょうか?
IT知識を問われるんですよね。
試験戦略としてはこれを狙うと一番いいと思う。
なぜなら試験日程的に「中小企業経営・政策」の直前に配置されているからだ。
「中小企業経営・政策」はとにかく暗記が必要な科目なので、試験直前一時間の復習が非常に役に立つ。
次年度受験で「経営情報システム」を科目免除できれば、その試験時間枠を復習時間にあてられるので、戦略的に大きな意味を持つ。
直前に時間を多く確保できるのは、暗記科目ではかなり有利ですね。
加えて、仮に科目試験に落ちた場合でも、試験範囲が似通っているIPAの「応用情報技術者」の勉強にシフトすれば良い。この応用情報は半年に一回行われる試験で、この試験保有者は、中小企業診断士試験の「経営情報システム」を科目免除できる。
おー、すごいですね。
科目合格は次年度を過ぎると無効になってしまう。
しかし応用情報技術者資格を持っていると話が違う。応用情報は、永久に使える科目合格パスに等しい。だから試験戦略としてはこれを狙うのが非常に有効となるわけだ。
現役のIT技術者であれば、特に狙い目ですね。
ちなみに、資格保有による試験免除は他にもある。財務会計だと税理士資格・公認会計士資格を持っていれば科目免除だ。
応用情報に比べたら相当な難関資格ですね。
だから「経営情報システム」の科目免除は破格の設定なんだ。試験戦略上有効という意味が分かると思う。
なるほど……。
これらはあくまで個人的なおススメであり、人によって得意不得意な科目が分かれるので、最終的にはどれを選ぶかを自分で判断してみてほしい。興味があるものから選ぶのでも、全然問題ないと思う。
わかりました。どれを狙っていくかはよく考えてみます。
ちなみに、一次試験の受験料はいくらなんでしょうか?
受験手数料は13,000円だ。
若干高いですね……。
人生好転のための未来への切符と考えれば安いものだ。
東京-京都間の新幹線の切符より安いんだぞ?
まあ、そう考えると普通の値段(?)かも。
そういうことだ。
というわけで、この記事を読んだ人は、運が良かったと思って是非とも今すぐ申し込んできてほしい。