【業界知識】SIer系企業とWeb系企業の違いは?知らずに入ると痛い目を見る【IT業界の大前提】

IT/SIer業界知識

SIer系企業とは?Web系企業とは?なにが違うのか

みる子
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若い人でIT業界に転職・就職をしようとしている人に知っておいてほしいのは、IT企業には主にSIer系とWeb系企業があるということだ。
事業モデルがかなり違うことから、企業文化もまるで違うので注意が必要だ。
どういった環境で働きたいかに応じて、どちらに就職したいかを適切に選ぶ必要がある。

残業ペンギン
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ちなみにぼくの会社は独立系SIerです。友達にWeb系会社に勤めている人がいますが、もう全然社風が違いますね。

みる子
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SIer系もWeb系も、IT技術を用いて世の中にソリューションを提供するという意味では変わらないが、業態の違いから「SIerには行かない方がいい」などの言説もよく見られる。それぞれの定義や特徴、違いについて解説していく。まずは簡易的に比較してみた。

残業ペンギン
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並べてみるとかなり違いますね。

みる子
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そうだな。詳しく解説していこう。まずはSIerとは何か、からだ。

SIer系企業とは?

みる子
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SIerとはSystem Integraterの略だ。日本語訳すると「システムを統合する人」となる。顧客の業務の調査分析を行い、顧客課題を解決するためのシステムの企画・構築・運用をするIT企業のことを指す。

残業ペンギン
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ここでいう顧客というのは、政府や金融機関、鉄道、インフラ、その他大企業が多いですね。

みる子
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そういった顧客に対する、大規模かつ信頼性の高いシステムを提供するのが仕事となる。
統制された開発体制が必要となり、開発モデルはウォーターフォールモデルを採用するのが大半で、プロジェクトは一年~数年の長期に渡るスパンとなる。

ウォーターフォールモデル
要件定義、設計、開発、テストの各工程を、川が上流から下流に流れるように 順次成果物を確定させながら進めていく開発方式。
大規模システムの開発に向いており、一度確定させた内容は変更しない。 変更発生は「手戻り」と呼び、大規模ゆえに予算的・工数的影響が甚大になるため 極力防止すべきものとして扱われる。
残業ペンギン
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国内SIer系企業の代表格といえば富士通、NEC、日立、三菱電機などですね。

みる子
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もう少し分類すると、それらはメーカー系SIerというやつだ。ほかにもユーザ系、独立系SIerがあるので、下記の通り分類する。

メーカー系SIer
ハードウェア等の製造もおこなっている電機メーカーで、  システム構築も行っている企業はメーカー系SIerと呼ばれる。
これに属する大手企業は富士通、NEC、日立、三菱電機など。
ユーザー系SIer
大手企業の情報部門が分離独立してシステムインテグレーションを行うようになった企業。 各々の出身業界におけるノウハウを強みとして事業展開するが、元の業界以外のSIにも進出しているケースも多い。
住商情報システム(商社系)、みずほ情報総研(金融系)、  新日鉄住金ソリューションズ(元は製鉄業から独立)などが該当する。
独立系SIer:
メーカー系・ユーザー系企業群に属さないSIer。
自前で上流から下流までの導入を行うことができる企業もあるが、  中小企業も多く、大手プライムの下で下流工程を受託する場合も多い。
大手ではNTTデータ、富士ソフト、オービックなどが該当する。
みる子
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他にもSAPやアクセンチュア、IBMなどの外資系もあるが、分類自体にあまり意味はないのでここまでにしておく。

残業ペンギン
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次はWeb系企業の解説ですね。

Web系企業とは

みる子
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SIerと異なり、特定の顧客が存在しない。FacebookやTwitterといったSNSや、楽天のようにEC(Electronic Commerce = インターネット上の売買サービス)といったWeb上の独自サービスを構築し、広くユーザを獲得することを目的としている。

残業ペンギン
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自社で開発する独自サービスなので、要件をヒアリングする顧客もいないですし、要件通りのものを作ったら終わりというわけでもなく、エンハンスメント前提で開発を進めていきます。

みる子
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そういった事情から、Web系企業ではウォーターフォールモデルはほぼ採用されない。Web系企業の開発ではとにかくスピーディーにサービスリリースし、リリースしたものに対するユーザの声を拾って改善点を洗い、サービスを改善を反映させるというサイクルをガンガン回していく、アジャイル開発モデルが採用される。手戻りを防ぎ、上流工程からじっくり詰めていくウォーターフォールモデルとは大きく異なる。

 

アジャイル開発とは
仕様を検討し、設計、開発、リリースをイテレーションという短期間(2~4週間)で繰り返すことでシステムの仕様追加や改善を行っていくスタイル。
文書よりも開発チームでの直接のコミュニケーションが重視され、開発すべき機能の優先度を評価し、機能を一つ一つ追加しリリースしていく。
残業ペンギン
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ちなみに上流とか下流という言葉は、ウォーターフォールを前提とした用語です。Web系企業では殆ど使わないらしいですね。あと、Web系企業では技術者の事を「エンジニア」と呼びますが、SIer系企業ではSE(システムエンジニア)、PG(プログラマー)と呼びます。ぼくはSIerのPGということになります。

SIer系とWeb系はこんなに違う

働き方

残業ペンギン
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違うと言えばやっぱり働き方ですね。同じ技術者でもSIer系とWeb系ではかなり違います。

みる子
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Web系企業ではエンジニアの地位が高く、しっかりパフォーマンスが出るようにオフィスも綺麗で、勤務時間もフレキシブルに選べたりもするし、自宅から働けるリモートワークなども積極的に採用されている

IT企業と聞いて小綺麗なオフィスを想像する人も多いだろうが、それはWeb系企業のイメージだと思ってくれ。

残業ペンギン
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エンジニア個々人が力を発揮できる環境を整えた方が、自社サービスを開発している企業では有利になりますよね。

みる子
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一方、SIer系企業は、先述の企業名などを見てもらえれば一瞬で察すると思うが、古い日本企業体質。相手にするお客さんも公共系やインフラ、金融などであり、とにかくお堅い。朝は決まった時間に出社しないと顧客にだらしないと思われるので、遅刻にも厳しい。そのくせ夜は定時に帰るとなんだか罪悪感を覚えるような雰囲気が漂う。

残業ペンギン
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クールジャパンですねえ。あと、オフィスがムサいことが多くて、客先常駐も多いですよ。IT業界の若い人で「忘年会に行きたくない」とか言っているのは、SIer系企業所属なんじゃないでしょうかね。

みる子
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まあ、最近ではSIerもフレックスを取り入れたりしているが、如何せん中の人たち自身の頭が固いので、多様な働き方が浸透するにはまだ時間がかかりそうだ。

あと、注意すべきはSIerは大規模システム構築を請け負うため、大量のプログラマーが必要になり、外注を多数使うので多重下請構造を形成する。末端の負荷が高くなる場合があり、ペンちゃんのように忙しい日々を過ごすことになるぞ。

残業ペンギン
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うーん、下請エンジニアの悲哀ですねえ。

みる子
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あとは注意すべきなのがブラックSESだ。SESというのはプロジェクトの期間中に、人員を派遣し客先常駐させて、システムの開発や保守運用を担当させる業態だ。SES自体はプロジェクトを回すうえで必要だし、ありふれたものだ。
しかし、SESの中にはブラックな企業が散見される。自社に十分な技術や知見も無いのにピンハネだけを目的に人売りをし、案件の内容などを精査せず受注してしまい、システム業界の作法どころか右も左もわからない素人をアサインするということもある。もちろん仕事を遂行するのは困難なので、自社のフォローも技術的蓄積もないまま、顧客にどやされながら仕事をすることになる。

残業ペンギン
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ブラックSESだけには入らずにおいたほうがいいですね。

人材や評価制度、年収

みる子
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Web系企業ではスキルのあるエンジニアには高い報酬が出る。自発的に考え、動き、改善や新規の提案を行い、チームや会社に貢献するような動きができるエンジニアは特に高く評価される。自分のスキルや人材価値と年収の相関関係が高いので、年収アップのために積極的に行動している人材が多い。

残業ペンギン
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最新技術にキャッチアップしないといけないので、勉強家な人も結構いて、全体的に意識高いですね。

みる子
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SIerはPGの地位はあまり高くなく、黙って淡々と仕事をこなしてくれる人が最も好まれる。構築するシステムは、安定稼働を第一優先としている。枯れた技術が使われるので、技術レベルもさほど高くなくても仕事がこなせる。

残業ペンギン
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ただ、求められる技術の方向性が違うとも言えますよね。安定稼働が優先なので、【上流で決まった仕様通り】に、【プロジェクトで決められたコーディング基準書通り】のコードで記述する人が好まれます。あと、お客さんへの納品物である詳細設計書や単体テスト報告書などのドキュメントをきっちり作成できる人が重宝されます。

みる子
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良くも悪くも古い日本企業体質で、自発性がない指示待ち人間でも職にあぶれることなく過ごすことが出来る。また、システム規模が大きく人力の定型作業が多いので、実は指示待ち人間でも仕事がある環境と言うことも出来る。
もちろん自発的に考えて動き、勉強をしている人間はちゃんと評価され、そういう人は管理職や上流工程を任され、地位が上がっていく

しかし、会社員をやっている場合は、Web系企業のようにすぐ収入に結びつくことはなく、年功序列の賃金体系の中でゆっくりと評価が上がっていく形だ。

残業ペンギン
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上にも挙がってるように、SIerはザ・日本企業って感じの会社が多いですからね。

みる子
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年収に関しては、技術者をやるならWeb系企業の方が高い技術力や積極性が要求される分、個々人の能力に応じた高い給与が期待できる。一方、SIer系企業では、生産性の低い技術者も多く、その分を高い技術者がカバーするが、給与は年齢や職位に応じて平等に分配されるので、ペンちゃんのように低い年収にとどまる人も多くみられる。

残業ペンギン
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少なくもらっている人から不満が極力出ないように、基本的に平等主義なんですよね。

みる子
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しかしSIer系企業では、上流工程(ITコンサルタントや上級SE)になると顧客業務の理解が求められるので、専門的な知識やコミュニケーション力、ビジネスの観点から思考するスキルなどが求められるようになり、システムだけを知っていれば良いわけではなくなる。したがってこの工程がこなせる人の単価は跳ね上がるSIer系企業で高年収を狙うなら、ITコンサルを目指して頑張るのがいい。

結局、どっちに行くべきなのか?

残業ペンギン
残業ペンギン

IT業界でこれから働きたい場合、SIer系とWeb系のどっちに入ればいいのでしょうか?
っていうかSIer系企業のマイナス情報が多いみたいですが……。

みる子
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SIer系企業に名を連ねるような親方日の丸ビッグネームは、働き方が多少古くサラリーマン的なマインドなだけで、労働者にとってのメリットは数多くある。SIerはお堅い分、安定しているしな。上に言ったような話は別にマイナス情報ではなく、裏返せば利点にもなり、結局は好みの問題に過ぎない

残業ペンギン
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SIer系に入るなら、ブラックになりがちで成長の機会が少ないSESを避ければいいと。あとは上流工程をやっている会社でも、PGがメインの会社でも、自分の性格や希望する働き方にあったところを選べばいいわけですね。

みる子
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Web系に入るなら、受け身マインドではなく、自発的に勉強ができ、エンジニアとして高給を取りたい人が向いているのでおススメだ。

残業ペンギン
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これから転職や就職をする人は、両者の違いは押さえておきたいですね。

みる子
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そうだな。ここまでで書いてきたような違いを意識して、自分に合った方を選べばいいと思う。
顧客ビジネスを理解したITコンサルタントになることで高い年収が狙えるSIer系企業に入るか、エンジニアの地位が高く先進的な労働環境のあるWeb系に入るか。スキルがあれば高年収を狙えるのはどちらも変わらないし、ビジネスに必要な本質は変わらない。だが、Web系の方が時代に合った労働環境があるとも言える。

残業ペンギン
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なるほど、スキルを磨くマインドがあればどっちでも活躍できそうですね。

みる子
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一方、ネットの動画かなにかでWeb系エンジニアの仕事を知って、「IT業界へ入りたい!」なんて思って間違えてSIer系案派遣のブラックSESに入社してしまった……なんていうのは目も当てられない。よく調べて行動いただくことを切に願う。

残業ペンギン
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知らずに入ると痛い目を見ますねえ~……。

みる子
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これから転職をしようとしている人、就活を始める学生などは、IT業界のことをよく知って、どっちの働き方が良いかよく考えてほしい。

それでは、今日はここまでだ。

残業ペンギン
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ありがとうございました!

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