【SAP知識】SAP組織構造の解説(事業領域とは?会社コード、販売組織、購買組織など)

SAP 共通・技術情報

SAPには会社コードを始め、事業領域、管理領域、販売組織、購買組織、プラントといった様々な組織設定が存在する。
階層的なもの、横断的なものと様々だが、こうした組織設定の構造とその意味合いを把握しておくことは、SAP導入する際の全体的な構想を立案または理解する上で必要なこととなる。

今回は、SAP組織構造の解説と、技術的な意味での構造(標準テーブル等)の整理を行う。

SAP組織構造の解説

事業領域(項目ID:GSBER)

事業領域はSAPの中でも比較的広範な組織設定で、様々なカスタマイズおよびトランザクションデータに関連している。会社コード、プラント、販売組織などの組織単位を始め、トランザクションデータ(伝票明細や指図マスタ、原価センタ、等々)にも「事業領域」の項目が存在しているので、どのモジュール担当者であっても目にしたことのあるものだと思われる。

では具体的に事業領域とは何かと言われると、うまく表現できない人も多いのではないだろうか。

事業領域とは何か

まず「事業領域とは?」を考える際に、SAPの文脈に引っ張られずに、本来的なビジネス上の意味合いを抑えておく必要がある。(これはどんなSAP用語にも言えることだが)

事業領域は、事業ドメインとも呼ばれ、その事業を行っていくうえでの市場内の生存領域を指す。
(野生動物が、自然界の中で生存する上で、自ずと生存領域が決まるのを想像していただければ良い)

事業領域の策定は3つの要素(独自能力、顧客層、ニーズ)により決定する。(エーベルの理論)
競争市場は無数にあり、広範に広がっているもので、その中で自社がどのように事業を展開するのかを策定する必要がある。全ての競争市場を独占し支配することは出来ないので、自社のどのような独自能力を用い、どのような顧客層に対する、どのようなニーズを満たすのかという戦略を考慮しながら事業を展開し、生存し続けていくための領域を形成することになる。
それが「事業領域」だ。

事業領域は自社の戦略を考えるうえで重要で、どういった領域にどれほどの経営資源を投下するか(これがまさにERP – Enterprise Resource Planning 経営資源計画)の判断基準になるためだ。
領域を狭く限定しすぎると近視眼的戦略に陥り、広く取りすぎると遠視眼的戦略となり、経営資源の適切な配分が出来なくなる。

SAPにおける事業領域

事業領域(項目ID:GSBER)でテーブル検索すると、資産クラスや条件マスタ、指図、会計伝票、CO伝票等々、様々なテーブルに登場し、横断的な組織設定であることがわかる。
その事業領域に属する企業活動(販売、生産、調達、会計に至るまで)に関わるデータであることを示すための項目なので、このように横断的な構造をとる。

事業領域は、顧客の事業活動及び「その事業活動自体の捉え方」、ひいては顧客の競争戦略に応じて設定されるものとなる。

以下は事業領域の標準テーブルをいくつか挙げる。

・事業領域の定義
テーブル:TGSB 事業領域

・プラント/評価レベル/製品部門に対する事業領域割当
テーブル:T134G 組織単位:事業領域設定

・販売エリア/流通チャネル/製品部門に対する事業領域割当
テーブル:TVTA 組織単位:販売エリア

・会社コードに対する事業領域割当
テーブル:TFIN020 事業領域を会社コードに割り当て

事業領域の使用例
ある特定の事業領域における企業活動がうまく回っているかどうかについては、最終的には財務諸表に現れると言って良い。
事業領域別の財務諸表作成をカスタマイズのTr:OB65(有効化:事業領域別財務諸表)から会社コードごとに有効化しておくことで可能となる。
財務会計への転記の際、事業領域はマスタ情報または手入力により、伝票明細(テーブル:BSEG)に割り当たる。これにより事業領域単位での財務状況を集計可能となる。
一つの事業領域について、複数のグループ会社が関わる場合もあるので、会社コードを跨いだ集計を行うこともある。こうすることで、当該事業領域の収益性を見極めるために使用できる。

会社コード(項目ID:BUKRS)

言わずと知れた組織設定で、会社(法人)単位で設定する組織となる。
この会社コードの配下に、販売組織や購買組織、プラントといった組織単位が配置されることとなる。
また、法的・外部向けの会計報告(財務諸表作成)を行う単位ともなる。

複数のグループ会社を持つ企業がSAPを導入する場合は、そのグループ会社の分だけ会社コードが設定されることとなる。(ただし、一度にではなく順次グループ会社展開を行ったり、資本比率により導入を見送ったりという場合ももちろんある)

会社コードと組織構造(テーブル構造)

会社コードと、いくつかの主要な組織構造の繋がりを整理する。

・会社コード(項目ID:BUKRS)
テーブル:T001 会社コード

・会社コードと販売組織(項目ID:VKORG)
テーブル:TVKO 組織単位:販売組織

・会社コードと購買組織(項目ID:EKORG)
テーブル:T024E 購買組織

・会社コードとプラント(項目ID:WERKS)
テーブル:T001W プラント/支店
テーブル:T001K 評価レベル

プラントと会社コードは、評価レベルのテーブル(T001K)を通して紐づく。

・会社コードと管理領域(項目ID:KOKRS)
テーブル:TKA01 管理領域
テーブル:TKA02 管理領域割当

会社コードと管理領域はTKA02にて紐づける。
管理領域は複数の会社コードを割り当て可能。
会社コードを跨いだ原価管理のために複数会社コード割当を行う場合がある。

・会社コードと原価センタ(項目ID:KOSTL)
テーブル:CSKS 原価センタマスタ

原価センタは管理領域(KOKRS)、原価センタ(KOSTL)をキーとしてテーブルCSKS上で定義する。会社コードもCSKS上で紐づく。

・会社コードと利益センタ(項目ID:PRCTR)
テーブル:CEPC 利益センタマスタ

利益センタは利益センタ(PRKTR)、KOKRS(管理領域)をキーとしてテーブルCEPC上で定義する。会社コードもCEPC上で紐づく。

・会社コードと財務管理領域(項目ID:FIKRS)
テーブル:FM01 財務管理領域

財務管理領域はFM01上に定義がある。会社コードに対して割り当てるもので、T001テーブル上に財務管理領域の値を持つ。

・会社コードと与信管理領域(項目ID:KKBER)
テーブル:T014 与信管理領域

与信管理領域はT014上に定義がある。会社コードに対して割り当てるもので、T001テーブル上に与信管理領域の値を持つ。

販売組織(項目ID:VKORG)

販売管理を行うための最上位組織。
販売組織に対し、カスタマイズで流通チャネルの割当、製品部門の割当を行う。
販売組織、流通チャネル、製品部門の組み合わせを販売エリアと呼ぶ。

テーブル:TVKO 組織単位:販売組織
テーブル:TVKOV 組織単位:販売組織別流通チャネル
テーブル:TVKOS 組織単位:販売組織別製品部門
テーブル:TVTA 組織単位:販売エリア

購買組織(項目ID:EKORG)

購買組織は、企業内の購買の責任部門をあらわす。
購買担当者や購買担当課などを表すための購買グループを定義し、購買組織との組み合わせで購買管理領域を定義することが出来る。

テーブル:T024E 購買組織
テーブル:T024 購買グループ
テーブル:T024W プラントの有効購買組織
テーブル:T026 購買管理領域
テーブル:T026Z 購買グループの購買管理領域への割当

プラント(項目ID:WERKS)

プラントは流通拠点、生産拠点であり、標準原価の管理単位となる。
プラントの下には、在庫を保管する保管場所を定義できる。

テーブル:T001W プラント/支店
テーブル:T001K 評価レベル
テーブル:T001L 保管場所

管理領域(項目ID:KOKRS)

管理会計における最も上位の組織単位で、原価センタ、利益センタといった組織(部門)設定も管理領域下で定義する。

テーブル:TKA01 管理領域
テーブル:TKA02 管理領域割当
テーブル:CSKS 原価センタマスタ
テーブル:CEPC 利益センタマスタ

財務管理領域(項目ID:FIKRS)

資金管理、資金計画を行うための組織単位。

テーブル:FM01 財務管理領域

与信管理領域(項目ID:KKBER)

与信管理領域として定義した毎の与信リスクの管理を行う。
与信とは得意先に対する債権の限度を定義するものであり、与信管理領域を使うことで会社コードを跨いだ与信管理が可能となる。(グループ含めた会社全体の債権合計を用いて、可能な債権額限度を管理するため)

テーブル:T014 与信管理領域
テーブル:KNKK 得意先マスタ与信管理:与信管理領域データ

販売管理機能との関連が深く、得意先マスタに対しての割当をはじめ、テーブルTVTAでは販売エリアに対する与信管理領域の設定値を持つ。

連結会計の組織構造

連結会計(Consolidation Accounting)の機能を使う場合、以下のような階層構造的な組織設定を行う。

連結対象(項目ID:DIMEN)

連結を行う組織の最上位の設定。

テーブル:TF150 連結対象

階層(項目ID:HRCHY)・トップ連結グループ(項目ID:TOPCG)

連結グループおよび連結単位をまとめる設定で、階層とトップグループはセットで定義する。

テーブル:TF190 階層
テーブル:TF192 階層 – 期間依存

連結グループ(項目ID:CONGR)

連結単位を束ねるための組織設定。連結グループの下に連結グループを作ることもできる。

テーブル:TF180 連結グループ

連結単位(項目ID:BUNIT)

連結会計における組織の最小単位。

テーブル:TF160 連結単位

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