SAPコンサルタントのキャリア形成方法について解説

SAP 業界・キャリア情報

SAPコンサルタントとして働き始めて1~3年目くらいの方々(あるいはこれからSAP業界に入る方々)は、今後どうやってSAPコンサルタントとしてキャリアを形成していったらいいのか?が実はまだ曖昧なはずだ。なんとなく将来に不安を感じている人も居るかと思う。

仮に年1、2回のキャリア面談を上司と実施していたとしても、自分にどのようなキャリアがあるのかよく分からないので、面談のたびに玉虫色の目標を設定して終わり、という人が大半だろう。

しかし、ここで明確に自分が納得して邁進できるキャリアパスを設定しておかないと、10年後もなんとなく目の前の業務をこなすだけの中途半端な仕事人間となってしまう。

今回は、SAPコンサルタントとして具体的にどのようにキャリア形成をし、そのためにどのような勉強やスキルアップを図って行けば良いのかを解説する。

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SAPコンサルタントのキャリア形成方法について解説

まずSAPコンサルタントにとっての「キャリア」は何によって構成されるのか、いくつかの軸に分解して考える必要がある。
では軸とは何か?それは以下の3つに分けられるはずだ。

SAPコンサルタントのキャリアの軸
・キャリアの軸①: プロジェクトにおけるロール
・キャリアの軸②: 担当モジュール
・キャリアの軸③: 知識領域

キャリアの軸①: プロジェクトにおけるロール

SIerにおけるプロジェクトの遂行は、PM(プロジェクトマネージャー)、PL(プロジェクトリーダー)、SE(システムエンジニア)、PG(プログラマー)というロールに基づいて分担しているのが一般的だ。

これらのロールは階層(ヒエラルヒー)を構成しており、PMはプロジェクトのトップを担うので単価も高い。他方、階層が低くなるにつれて単価も低くなるのも一般的な傾向だ。

この階層内で「キャリアアップしたい」といった場合、ゆくゆくはPL、PMなどの管理職を目指していく、ということを意味する。

上流工程を目指すのがキャリアアップとなる

階層の上下は「上流」「下流」の工程とも言い換えられる。

上流工程になるにつれて、顧客業務に対する理解や、組織運営の能力も必要になるし、PMともなれば現在のプロジェクトが顧客の経営戦略の中でどのような位置づけになっているかも含めた視座が必要となる。

上流工程を目指すのであれば、そのような領域に重点を置いて勉強をしていく必要がある。
PGとして働いている場合、業務の中ではこうした上流工程の経験を得る機会が限られる。
SEであっても上流工程を担当したければ、業務内あるいは業務外でも自主的に勉強する姿勢が求められる。(指示されたことだけをするのではなく、その仕事の背景や顧客業務を意識してタスク遂行する必要がある)

会社内の職階とも概ね連動している

ここでの「会社内」というのは、SIer企業におけるシステムエンジニアリング部門内の話と考えて頂きたい。

プロジェクトでPM、PLを経験した人は、会社内でも部長、課長などの管理職に就く(あるいは就いている)ことが多い。
万年平SEだったり、ずっとPGをやっていた人が、急に部長や課長になるケースはそうそう無い。

社内での出世を「キャリアアップ」と位置付ける場合は、プロジェクトマネジメント経験があると良い。

キャリアの軸②: 担当モジュール

SAPコンサルタントにおけるキャリアの軸の一つに、「どのモジュールの担当になるか」というものがある。

・プログラミングを専門とするABAPer
・インフラを担うBasisコンサル
・ロジスティクス系 PP(生産)、SD(販売)、MM(購買)コンサル
・会計系 FI(財務会計)、CO(管理会計)コンサル

このようなかたちでざっくり領域が分かれている。
SAPコンサルタントはこれらモジュールのいずれかについてスキルを身に着け、業務に活用していくこととなる。

モジュールの選択

SIer企業に新卒で入ってSAP案件にアサインされると、殆どの人は会社がアサインしたモジュールで最初の数年のキャリアを過ごすことになる。

その後はモジュール担当者としてのキャリアの広げ方として「多能工化を目指して複数モジュールの知識を得るか、より各モジュールの専門性を高めていくか」といった選択を考慮していくこととなる。

全体感を得るという意味では、他モジュールの知識も付けた方が評価されやすい傾向にある。
いずれPLクラスになると複数モジュールの知識が必要となる。

キャリアの軸③: 知識領域

SAPは「情報科学」と「経営学」の融合

ところで、エンジニアリングとはそもそも、アカデミックな研究成果を産業に転用した結果として生まれる。
いま我々が触れている様々な工業製品(ネジの一本からCPU基板まで)も、元をたどれば誰かの学問的な研究成果を元に、再現性の高い製造手法が編み出された結果作られたものだ。

ではSAPを構成するアカデミックなベースは何か?
それは「情報科学」と「経営学」の融合だと言える。

SAPはERP(経営資源計画)ソフトであり、顧客の企業活動を効率的に管理するためのものだ。
その中には経営学の成果が多分に含まれており、例えば効率的な生産管理や、各種在庫管理の手法や需要の予測方法、会計基準や理論を踏まえた管理機能が揃っている。

技術者としては「情報科学」の方に傾倒しがちで、技術を極めようとする姿勢自体は間違っていないものの、SAPにおいては「経営学」の側面を無視しては完全な片手落ちとなる

キャリア選択の上で、どちらを学ぶべきか

SAPコンサルタントは「情報科学」と「経営学」の両方を学ぶ必要があり、どちらかが欠けていると業務遂行に支障が出る。

しかしながら、実はSIer企業に勤めているSE(とくに若い層)は、この「経営学」方面の重要性を明示的に認識している人は少ない。どちらかというと技術者を自認しているので、自分は「情報科学」の領域にいる、と思っているようだ。
(しかし技術的トレンドをきっちり追いかけているかというと、そういう人も少数派だ)

「経営学」に関する知識習得は、SAPコンサルタントとしての業務を通じて、あるいは簿記などの資格勉強を通じて、徐々に習得していくこととなる。
しかし、キャリア形成として「情報科学」と「経営学」のどちらに自らの時間を配分していくのかを意識している人は、どの程度いるだろうか?

同じSAPコンサルタントでも、この配分比率によって、担うポジションが変わってくる。

3つの軸を統合したキャリア観

これまでSAPコンサルタントのキャリアを構成する3つの軸について解説してきた。
この3軸を統合してみると、以下のようになる。

キャリアアップを狙うならロジか会計コンサルがおススメ?

SAPは「経営資源管理」のためのソフトである以上、ロジスティクスあるいは会計領域の担当となることで、SAPの中核的な領域を担うことになるため、SAPプロジェクトにおいても価値を発揮しやすいと言える。

例えばSEとして顧客業務をSAPの機能設計に落とし込む際には、「経営学」の領域の理解が重要となる。

あくまで顧客の経営に資するために導入するソフトであるので、「経営学」に近い領域にポジショニングする方が顧客との意思疎通もしやすく、とくにPM、PLは顧客と近い位置で仕事をすることになるので、より経営に関する理解も必要となる。

ちなみに上図において、作図上は「ロジコンサルをやや左寄り、会計コンサルをやや右寄り」に配置しているが、ロジでも会計でもキャリア形成上で大きな違いはない。ただ会計知識は経営学の中でも核の部分に位置するので、若干程度左右の配置に差をつけた。

当然、BasisやABAPerも重要度は高い

BasisやABAPerの作図上の位置づけを見ると、「情報科学」(左側)に寄りすぎるとキャリアアップにマイナスなのでは?と思われるかもしれないが、決してそんなことはない。

S/4 HANAのリリース後、SAP情報科学分野では日々大きな変化が起こっており、こうしたトレンドを追いかけることは非常に価値のあることだし、旧来ロジや会計コンサルをやっていた人も無関心ではいられない。

ただ、やはりBasisやABAPerは専門職の色が強い。SAPプロジェクトにおけるBasis出身のPMはあまり見かけない。
ちなみに個人的所感だが、技術的な領域に興味の強い人は、マネジメント方面にはあまり興味を示さない傾向もあるように思う。

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自分のポジションを意識するのが重要

重要なのは、こうしたいくつかの軸の中で、自分のキャリアをどこに持っていくかというビジョンマップを持つことだ。

漠然とした将来像を、このような軸に基づいて整理する。
そうすることで、自分がどこに行き着きたいかを考えることができるし、上司との定期的なキャリア面談でも明確なゴールを設定することができるようになるし、現在の自分のポジションがどこにあるかも明確になる。

ちなみに、SAPコンサルとして働いていると仕事の幅が広いので、色々なことに興味が出る。
そうした中でゴールを動かすのも全然かまわないと思う。
大事なのは「今のポジション」を見失わないこと。

正社員かフリーランスか

正社員として働くか、フリーランスとして働くかというのも一つの軸となる。
社内の出世に興味が無く、高単価で働きたいならフリーランスになってしまうのが幸せになれる。
この場合も、自分のポジション(例えば情報科学に強いのか、経営学に強いのか、最終的にどこに行き着きたいのか)が明確であることが重要となる。

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具体的なキャリア形成方法について解説

ここでは、キャリア形成を考える上で、具体的にどのような方法でゴールまでたどり着けば良いのかを解説する。

PM、PLを目指すならプロジェクトマネジメントを学ぶ

プロジェクトマネジメントを勉強するにはいくつかの方法があるが、資格を取ってしまうのが知識習得にも肩書き的にも早道となる。

・IPA プロジェクトマネージャ試験

試験区分一覧 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
情報処理推進機構(IPA)の「試験区分一覧」に関する情報です。

・PMP資格

PMI®試験・資格について | 一般社団法人 PMI日本支部
PMI® 認定試験について 各種PMI® 認定試験についての最新情報は、PMI本部Webサイトの Certif

また、小規模案件でもPMやPLとしてアサインされる案件があるのようであれば、積極的に取りに行くのも良い。

「経営学」方面に進出するならまず業務に詳しくなること

モジュール別に業務知識を習得するのに役立つ資格を、以下の記事にまとめている。
まずはこれを参考に勉強をしてみると、SAPコンサルタントとしての業務のクオリティが上がるので、キャリア形成にプラスとなる。

【SAP資格】SAPコンサルタントの仕事に役立つ資格7選
SAPコンサルタントは会社業務についての幅広い知見(販売、購買、生産、会計、その他経営全般)が求められる。 そして、世の中にはそうした「仕事の知識」を体系化した資格制度が、意外なほどに多く存在する。 今回は、SAPコンサルタントの仕事力を増強してくれる「仕事の資格」についてご紹介する。

導入プロジェクトと保守プロジェクトの両方を経験する

SAPコンサルタントとしての業務経験をどう積むか?という論点についても解説する。
できればSAP導入プロジェクトを経験したのちに、SAP保守プロジェクトにも入った方が良い

いったんSAPを導入した後、システムがどのように運用されているかを知ることで、「十年後を見据えたシステム構築の観点」を得ることができるためだ。
これを経験しておかないと、導入時に保守性の低いシステムや、運用が難しいフローを実装してしまうといったことも起こる。

とくにPM、PLを目指すのであれば、導入と保守の双方の勘所を持っておくのが良い

プロジェクトアサインの交渉をする

キャリアというのは今までどのような案件に携わったかで形成されていくが、会社に要望を出さない限り、会社がその時々で勝手にアサイン案件を決めてしまう。
例えば新卒で保守プロジェクトに入れられて、意味がよく分からない定常作業を延々と数年間やらされるということも、普通に起こりうる。いわゆる案件ガチャというもの。

こうならないためには、自分から要望を出すことでアサインされる案件をコントロールする必要がある。
予め、導入プロジェクトの引き合いがあったら是非やらせてほしい、という要望を伝えておく方が良い。また、保守プロジェクトであっても、定常業務に終始する案件ではなく、細かい拡張や要件定義が発生する案件を要望するのが良い。

自分がどのポジションになりたいのかを意識し、会社にそれを言葉で伝えるのが重要だ。
そうしていれば、いずれ望んだキャリアを手にすることができる。

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