近年、職場におけるパワハラや、立場の弱い下請け虐めが横行しており、そんな世知辛い世相を反映してか、なろう作品でも主人公が追放や理不尽なクビ、いじめにあう「追放系」が一大ジャンルと化している。
「理不尽で不当な扱いを受け、国や勇者パーティーなどから追放されながらも、後にドン底から這い上がり復讐を果たす主人公」というモチーフが近年は人気のようだ。
不景気や低賃金労働、格差社会、職場での不当な扱いが、こうした作品群の需要を生んでいるのだとしたら、ある意味自然な需要に対する供給だと考えられる。
この記事では、主人公が作品序盤で最悪な扱いを受けるファンタジー漫画をご紹介する。
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盾の勇者の成り上がり
主人公の岩谷尚文(20歳・大学生)は「四聖勇者」の一人である「盾の勇者」として異世界に召喚される。
勇者として召喚されたことに一時の高揚を覚えるも、実は盾は「負け組の職業」であり疎まれる存在であった……、といった感じでだんだん雲行きが怪しくなっていく。
いわゆるなろう系作品には珍しい部類なのだが、どん底への陥り方が割としっかり描かれている。
一般的になろう系作品は、読者に与えるストレスが少しでも強いと読者が離れてしまうので、「どん底に陥る」と言いつつ暗いパートは結構ソフトな感じで済ませ、その後すぐに這い上がって読者を「スカッと」させるという展開を、意図的に採用しているものが多いのだそうだ。
しかし、『盾の勇者の成り上がり』はある意味でリアリティのあるドン底(詳しくは実際にお読みいただきたいが、痴漢冤罪にまつわる話を思い起こさせる)を描写しており、不遇な状況もなかなか解消しない。
本作の主人公はこれを切っ掛けに闇落ちし、以降、ブラックヒーロー的に振舞っていくことになる。
主人公に対し正義を気取りながら執拗な攻撃を加える愚かな周囲と、それに対する主人公の立ち回りが魅力的な作品。
第一巻を読む:盾の勇者の成り上がり 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
Kindleまとめ買い:盾の勇者の成り上がり
異世界おじさん
最近アニメ化もされた作品。
独特のタッチと雰囲気に引き込まれる。とにかく一度は読むべき非常におススメのギャグマンガ。
17歳の時に異世界「グランバハマル」に転生した主人公(おじさん)が、17年の時を経て再び現実世界に帰ってきて、異世界での体験を甥に語るという形で話が進む。もちろん当初は頭のおかしいおじさん扱いされる。
ところで、異世界ファンタジーの主人公といえば何も言わずとも美形と相場が決まっているものだ。
転生先である「グランバハマル」も美形顔が標準となっている世界だったのだが、おじさんの風貌は不審者そのものであったことからオークと間違われ、どこへ行ってもほぼ必ずえげつない迫害を受けるのだった。
かなり異色な漫画であるが、17年間も現実世界を留守にしていた浦島太郎状態のおじさんと、そうしたおじさんの言動・行動に絶妙な突っ込みを入れる甥とのコンビ漫才が秀逸だ。
ここ17年間の世の中の変化を思い起こしながら読める、どこか親近感のあるギャグマンガとなっている。
特にセガ信者であるおじさんの、17年越しのセガハードのゲームたちに対する思い入れが面白い。
まさに30代~40代向け。
第一巻を読む:異世界おじさん 1 (MFC)
Kindleまとめ買い:異世界おじさん
伝説の竜装騎士は田舎で普通に暮らしたい~SSSランク依頼の下請け辞めます!~
現実のビジネスにおける「下請けイジメ」を彷彿とさせる序盤から始まる本作品。
何もわかっていない愚かな発注元が、本当は有能な下請けを見くびり、嘲笑し、ついには「お前の代わりなどいくらでもいる!」という定番の決まり文句で下請け切りをする。
しかし代わりが居るなどと思っていたのは盛大な勘違いで……!?
この先は実際に漫画を読んで見届けていただきたい。
現実のビジネスシーンでも、大事な下請けを不当に軽く扱ったり、有能な派遣社員を下に見て不当な扱いをする正社員というのは、実はけっこう目にしたりする。
なぜか下請けや派遣を詰める文化が日本中に蔓延しており、そういった土壌のなかでこの漫画『伝説の竜装騎士~』も出てきたのだなと思わせる内容だ。
そもそも外注というのは、発注元単体ではカバーできない能力を補うためのものであり、互恵関係にあることを忘れてはいけないだろう。中には優秀なパフォーマンスを発揮してくれたり、代替不可能な存在である場合もあるのだ。
そういった子供でも分かるごく当たり前のことを気づかせようとするファンタジー作品は、現代における新たな童話の形なのかもしれない。
第一巻を読む:伝説の竜装騎士は田舎で普通に暮らしたい ~SSSランク依頼の下請け辞めます!~ 1巻 (デジタル版ガンガンコミックスONLINE)
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無駄飯食らい認定されたので愛想をつかし、帝国に移って出世する~王国の偉い人にはそれがわからんのです~
王国の魔法局で働いていた主人公、オスカー・ルッツ。
魔法の才能にあふれる彼だったが、そんな彼の働きぶりに魔法局から投げかけられた言葉は、まさにブラック企業のそれだった。
効率的に仕事を終わらせた彼に対し、「サボっている、お前以外まだみんな働いている」「どうしてみんなと同じことができないんだ?恥ずかしくないのか?申し訳ないと思わないのか!」「賃金はカットだ」「手を抜いて仕事をやって 無駄飯食らいの良いご身分じゃないか」などと言いたい放題であった。
当然の帰結としてルッツは王国魔法局を辞して、彼は帝国に移ることになった。
そして、帝国での待遇は、オスカーの予想を大きく上回るものであった。
ルッツの「無詠唱」魔法に皆が驚く。
一気に俸給が王国の10倍に。(王国の給料の低さにドン引きされた)
実力を認められ、周囲に信頼される。
評価されるって素晴らしい……
「人を評価する目が1ミリもないブラック企業から、転職してホワイト外資に入って実力が正当に評価され給料が大幅アップした」という転職のありがちなアウトラインをそのままファンタジーに持ち込んだかのような設定。だが、現実にそのようなことはよく起きているので、バカにできない。
最強勇者はお払い箱→魔王になったらずっと俺の無双ターン
「ガリウスよ そなたは勇者と名乗るには不細工すぎるのだ!」
魔王を倒し凱旋した主人公に、国王から投げかけられたのはこんな一言だった。
容姿の優れない肥満体の勇者ガリウスは、その功績のすべてを国王の息子に引き渡せと要求される。
オークもどきと呼ばれ幼少から虐められ、親にすら疫病神呼ばわりされ、それでも頑張っていればいつか認められると信じた末の、この言葉であった。
現実でも、部下の功績を横取りする上司の話は後が絶たないが、そうした世知辛い話を彷彿とさせる展開だ。
結局、主人公は王国におけるいくつかの「社内政治」とでも言うべき陰謀に巻き込まれた形になるのだが、王都を脱し新天地を目指す旅に出ることとなるのだった。
第一巻を読む:最強勇者はお払い箱→魔王になったらずっと俺の無双ターン 1巻 (デジタル版ガンガンコミックスUP!)
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漆黒使いの最強勇者 仲間全員に裏切られたので最強の魔物と組みます
「闇の勇者」である主人公のシオン=アックスは、世界に16人いる勇者の一角だった。
しかし、「歴代最強」と言われるシオンの力を妬ましく思う他の勇者の罠にかかり、信頼する仲間に裏切られ、勇者の力を失ってしまう。シオンの魔力は「魔奪石」により抜き取られ、砕かれ、世界に散逸する。
仲間の裏切りによる失意から一度は命を絶とうとするも、強力な魔物「ハク」との出会いを通じ、生きるための放浪の旅へと出ることとなる。それは自らの散逸した魔力を宿す「魔奪石」を収集する旅へと繋がっていく。
勇者ではなくなったアックスだが、かつて闇の勇者であった頃に救った人々との再会を通じ、生きる意味を見出していく。このストーリーは、散逸した勇者としての力を再び集める旅=勇者であった頃に積み上げたものを再びかえりみる旅、という重なりのもとに読み解くことができる。
生きていれば一時の手痛い経験をすることもあるが、しかしそれまでに積み上げてきたものすべてが無になるわけではなく、裏切らず力になってくれるものも必ず存在するということだろう。
第一巻を読む:漆黒使いの最強勇者 仲間全員に裏切られたので最強の魔物と組みます 1巻 (デジタル版ガンガンコミックスUP!)
Kindleまとめ買い:漆黒使いの最強勇者 仲間全員に裏切られたので最強の魔物と組みます
追放されたチート付与魔術師は気ままなセカンドライフを謳歌する。~俺は武器だけじゃなく、あらゆるものに『強化ポイント』を付与できるし、俺の意思でいつでも効果を解除できるけど、残った人たち大丈夫?~
「最近流行ってるなあ、ウチでもやろうかな」
「よっしゃ それじゃウチも一人!追放するかあ!!」
などという軽いノリでギルドを追放されてしまった、強化付与魔術師のレイン。
ギルドメンバーにひたすら武器強化を施し、強力な武器と防具で所属ギルドを一流ギルドへと押し上げていた彼だったが、「戦えない役立たず」「バカの一つ覚え」などと言われクビを宣告されてしまう。
しかし、彼の付与魔法は本物のチート級であった。レインがこれまで付与した強化ポイントをすべて解除・回収したことで、ギルドは大幅弱体化。一方、レインは別のギルドへと転籍し、膨大な強化ポイントを使った桁外れの強化能力を武器に戦っていくこととなる。
かなり独特な作風を持っており、独自の不条理ギャグと、なぜかそれにマッチしている趣の絵柄で、一部では怪作?と噂されている。ファンタジー世界のはずなのだが、ストーリーが進むほどに現実要素が何の断りもなしに登場し、シュールさを加速させる。ちょっと心配になるレベル。
シュールギャグファンタジー漫画が好きな人には非常にお勧め。
完全回避ヒーラーの軌跡
「このように無能なやつが勇者一行だとはなんということか」
異世界にプリーストとして召喚された桜井広希。同時に召喚されたウィザードのるり、勇者の蓮。彼らは「勇者一行」として国王から魔王討伐を依頼される。
しかし、プリーストの桜井が行った「ステータスポイント」の極振りが国王の不興を買い、「無能ヒーラー」などと呼ばれながら投獄されてしまう。
彼が行ったのは「回避」へのポイント極振りであった。この異世界では、いまだ「回避」の価値が見出されておらず、それがいかに有用な能力か理解できる者がいなかったのだった。
勇者・蓮の尽力により牢屋から助け出された桜井だが、国王の不興を買ったままであるため、勇者たちとは別行動をとることにするのだった。彼は桁違いの回避力を活かしつつ冒険に出るのだった。
味方が弱すぎて補助魔法に徹していた宮廷魔法師、追放されて最強を目指す
かつて王都ダンジョンの踏破記録を大きく塗り替えた伝説のパーティーの一員、アレクは優秀な攻撃魔法の使い手だった。
しかし、宮廷魔法師となった彼は現在、王太子のダンジョン攻略のお膳立てのために、補助魔法を駆使しつつ力不足な王太子のパーティーを支えていた。そんなアレクに、思い上がった王太子は心無い言葉を浴びせるのだった。
「僕より目立つ魔法を使うな!命令にだけ従っていろ!」
「オマエはクビだ。補助魔法しか使えない役立たずはパーティーに必要ない」
こうして宮廷魔法師をクビになったアレクだったが、かつて伝説を打ち立てたパーティーメンバーと再会する。復活した伝説のパーティー。そして、アレクはそのパーティーにおいて、補助魔法ではなく本業の攻撃魔法で真の実力を如何なく発揮できる。こうして彼の新しい冒険が始まるのだった。
ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺が全てを蹂躙するまで
「くたばれ クソ女神」
一般的にファンタジーものにおける女神とは、勇者に祝福を与える存在であるが、この作品の女神ヴィシスは劣悪極まりない。
女神によって学校のクラス丸ごと異世界に召喚され、勇者として一人ひとりにスキルが付与された。そんななか、クラスの一員であり所謂「陰キャ」枠の主人公、三森灯河は、ただひとりハズレスキルを付与された最低ランク・E級と認定されてしまう。
そして、E級は足を引っ張る存在として廃棄すると理不尽にも宣う女神。
クラスメイト達も三森をかばうわけでもなく冷淡であり、彼はあえなく廃棄遺跡に転送されてしまうーー。
そんな最中に三森が女神に向かって放ったのが冒頭のセリフ。これから始まる「ハズレ枠スキル」を駆使した反逆の物語の狼煙となるのだった。
復讐を希う最強勇者は、闇の力で殲滅無双する
魔王を倒し世界を平和に導いた勇者は、しかし王女の手によって処刑されてしまう。
復讐を誓う勇者は、女神に自らを生き返らせることを要求。
そうして復活した勇者は、悪と陰謀の渦巻く王国において、「やられたことをやりかえす」という信念に基づき凄惨な復讐劇を実行していく。
闇落ちした勇者による、この世界への粛清が始まる。
村人ですが何か?
「ーー『村人』風情が……『勇者』と対等に話をするなどと…
…分を弁えなさい…」
仲間だと思っていた者に裏切られ、勇者の隣にいるのが相応しくないとして理不尽に殺害されてしまった「村人」の転生者・リュート。しかし彼には転生した際に授けられた特殊スキルがあり……?
再転生してスタートする「村人」のまま強くなるための最適解とは!?
勇者パーティから追放されたけど、EXスキル【固定ダメージ】で無敵の存在になった
書籍版の原題は『恋人を寝取られ、勇者パーティーから追放されたけど、EXスキル【固定ダメージ】に目覚めて無敵の存在に。さあ、復讐を始めよう。』
ダークヒーローものが好きな人は必読。
主人公のクロムは、勇者パーティーの一員であるイリーナと将来を誓い合っていた。
勇者パーティーと仲間たちと共に進む魔王討伐の旅は順調そうに思えた。
勇者ユーノとクロムは親友同士の関係だった。
しかし、ある日の宿屋にて、クロムは勇者ユーノの部屋に入っていく恋人・イリーナの姿を目撃してしまう。扉越しに聞こえてきた音は、クロムを絶望の淵に陥れるには十分だった。
クロムに芽生えた闇の感情は、勇者の力を強化するための儀式の生贄に利用された。
全ては、家族同然に思われたパーティーメンバーたちにより、仕組まれたことだったのだ。
最悪な形でパーティーを追放され、深い憎悪と復讐を誓った瞬間、クロムに宿った闇の力が彼に強大な力を授けた。
『固定ダメージ』スキル。
伝説の加護宝具すら数秒で貫通し装備者本体にダメージを与える凄まじいスキルである。
2年後、魔王を討伐し栄耀栄華を極めているパーティーメンバーたちに、クロムは自らが受けた仕打ちの報復を開始するのだった。
ダークヒーローもの特有とでも言うべきか、スカッとしつつも一抹の後味の悪さが残るあの感じが好きな人には是非おススメ。
その門番、最強につき~追放された防御力9999の戦士、王都の門番として無双する~
「ジーク お前は今日限りでパーティーをクビだ」
「臆病者はうちのパーティーにいらねえんだよ!」
戦士職であるジークは、パーティーのリーダーであるナハトから「攻めずに守ってばかりで攻撃受けてもろくにやり返しもしねぇ」と評され、クビを宣告されてしまう。
ジークの所属する【紅蓮の牙】は火力特化パーティーを自負しており、攻撃力ばかりを偏重するようになってしまった結果、防御・守備を主とするジークを追放したのだった。
ジークは王都アスタロトの門段に転職し、その守備の実力を遺憾なく発揮していくこととなる。
一方、ジークを追い出した【紅蓮の牙】は、今まで余裕で倒していた敵に突然攻撃が通らなくなり苦戦するようになっていた。ジークは敵の注意を引きつけ、敵の攻撃を一手に担うことにより、仲間が全力で攻撃に集中できるよう貢献していたのだから、彼を追放した結末としては当然だった。
しかしその事をかたくなに認めようとしないナハトは、ジークに筋違いの憎悪を募らせるのだった……。
一瞬で治療していたのに役立たずと追放された天才治癒師、闇ヒーラーとして楽しく生きる
「最近お前何もしてないよな ぶっちゃけ、もういらないんだ」
「ぼーっと突っ立ってるだけのくせに」
「もうお前の胡散臭い治癒魔法なんざなくても、強くなった俺らを傷つけられる相手はいねぇんだよ」
治癒師ゼノスは、ある日パーティーメンバーたちから急な追放宣言をされる。
パーティーが戦闘を行うとき、ゼノスは傷を負った仲間を即座に治癒魔法で回復させ、防護魔法でダメージを軽減、強化魔法で攻撃力を強化するといった支援を無詠唱で行っていた。あまりにも瞬時に発動させていたため、愚かなパーティーには「突っ立っているだけ」に見えてしまっていたのであった。
彼らは治癒師ゼノスの高度すぎる治癒魔法が理解できず、思い上がったことをそのまま口にするのだった。自らを強くなったと勘違いしてしまったパーティーの行く末は必読。
パーティーを抜けたゼノスは、治療院を開業することとした。貧民出身であった彼は、正規のライセンスを取っての開業が出来なかったため、廃墟街にてひっそりと闇営業することにしたのだった。
通常では治すことのできない怪我や病気を、桁外れの治癒魔法によって次々と治療していく彼の噂は次第に広まり、舞い込んでくる裏の依頼をこなす「ブラックジャック」系ファンタジー作品。
勇者パーティーを追放された白魔導師、Sランク冒険者に拾われる ~この白魔導師が規格外すぎる~
「ロイド お前には勇者パーティーを抜けてもらう」
「お前さぁ いつも後ろでごそごそやってるだけじゃん」
「役に立たないし目障りなんだよね」
白魔導師ロイドを実力不足と貶した上に、いままでの迷惑料として有り金までおいて行けと迫る、山賊まがいの勇者パーティー。
パーティーをクビになり、フリーの白魔導士となったロイドが途方に暮れていると、偶然にも白魔導士を探しているというSランクパーティーに遭遇するのだった。
高難度の依頼を受けるために白魔導士が必要だというSランクパーティーだが、そんなに都合よく高レベルの白魔導士が捕まるはずがないと訝しむのだった。そんななか、ロイドの魔法を試そうという提案がなされ、「パーティーに強化魔法をかける」というテストを受けることになった。
自信なさげなロイドだったが、彼が次の瞬間に披露したのは、Sランクパーティーの想像を絶するものだったーー。
最強タンクの迷宮攻略 ~体力9999のレアスキル持ちタンク、勇者パーティーを追放される~
レアスキル持ちの主人公ルードが、ある日、勇者キグラスのパーティーを突然追放される。
「ルード お前は今日でクビだ」
勇者キグラスはそう言いながらThumbs down(親指を下に向けるサイン)をカマすのだった。
主人公のルードはタイトルが示す通りのタンク(被害担当、敵の攻撃の引受け役)なのだが、勇者キグラスはある日突然、ルードの代わりのメンバーを連れてくる。
彼曰く、
「ルードのスキルには効果不明の部分があるためパーティの足を引っ張っている」
「タンク役のトレンドは「防御型ではなく回避型」に移っており、クビの理由としては十分」
だということ。
いかにも悪役上司らしい言葉ではあるが、現実社会でも「スキルのトレンドにそぐわない」という理由で、旧来より貢献してきた人材を過小評価してしまうシーンは、実はよくあるのではないか?
※注:こちらは漫画版です。
※注:こちらは原作ノベル版です。
「攻略本」を駆使する最強魔法使い~<命令させろ>とは言わせない俺流魔王討伐最善ルート~
「お前もういらねえわ 抜けろよ」
主人公マグナス(魔法使い)は、勇者ユージーンからパーティー追放を宣告される。
戦闘での成果が芳しくなかったマグナスに対し、勇者はひとしきり嘲りバカにした後に、パーティから脱退しろと言い放つのだ。
戦闘結果が悪かったのは、勇者のトップダウンを押し付ける戦闘指揮に問題があったのだが、現実の職場でも、指示や考え方を押し付けすぎて部下が実力を発揮できず、かつそれをさらに責める上司という構図はありがちかもしれない。
この漫画を読んで部下管理評価の反面教師とするのも良いかも知れない。
※注:こちらは漫画版です。
※注:こちらは原作ノベル版です。
勇者パーティーを追放されたビーストテイマー、最強種の猫耳少女と出会う
「レイン 君はクビだ」
勇者アリオスによりクビを言い渡される主人公のビーストテイマー・レイン。
それに追い打ちをかけるように、パーティーメンバーから「お荷物」「役に立っていない」「存在そのものがマイナス」と心無い言葉が矢継ぎ早に彼を襲う。
索敵などの補助が主な仕事であったビーストテイマーのレインは、その価値を勇者から評価されることなくパーティーを追放されてしまうのだった。
冒険者に転身したレインは、道中で「猫霊族」のカナデと出会い、彼女を使役することとなる。これをきっかけに、レインのビーストテイマーとしての規格外の能力(最強種である「猫霊族」との契約、さらには一帯だけでなく複数の動物と同時に契約が可能など)が徐々に明らかになっていく。
一方、別のビーストテイマーを雇った勇者パーティーは、初めてレインがいかに凄まじい能力を以って無茶なタスクをこなしていたかを知ることになる。
真の仲間じゃないと勇者パーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました
「君は真の仲間ではない」
主人公ギデオンはかつて勇者パーティーで活躍したメンバーであったが、仲間であるはずの賢者アレスに真の仲間ではないと告げられ、魔王討伐の旅半ばで追放される。
主人公ギデオンは成長の頭打ちとなるのが早いスキルの保持者だったため、高度化する戦闘に付いてこれていないのを賢者アレスに指摘されたのだった。
そんなわけで主人公は名前と身分を変え田舎で悠々自適な生活を始める……という田舎リタイアメント作品。
しかし、パーティーにおいて主人公ギデオンは、限界値が低いスキル特性をカバーするための様々な工夫をめぐらせており、追放を宣告した賢者アレスの致命的なまでの過小評価が徐々に明らかになっていく。
ある意味で、花形ではないが目立たない優秀な人材をいかに正しく評価するか(あるいは色目や自分の都合を排して評価するか)ということの難しさを感じさせてくれる。
人材評価には常にバイアスがかかり、後光効果・工場誤差・寛大化傾向・期末効果……といった評価を惑わす心理効果を打ち消すのは難しい。人材評価の正当性には常に気を付けたいものだ。
※注:こちらは漫画版です。
※注:こちらは原作ノベル版です。
底辺戦士、チート魔導士に転職する!
「ラース… あんた今日でクビだから」
パーティの女性メンバーから冷たい視線とともに追放を宣告された、主人公の戦士ラース。
しかし、ギルドで改めて職業適性をみてもらったところ、彼には超高度な魔法適性が見つかるのだった。
過去に間違えて戦士として登録されてしまったのだが、今回ギルドで改めて魔法使いの適性を試したところ、凄まじいまでの力の片鱗を見せつけることとなる。
「他人の手違いのせいで人生の方向性を見誤ったが、自分に適した職であれば実はすさまじい才能を発揮できるのだ」と言わんばかりの、少々都合がいい内容に内心ツッコミたくなる部分がないわけではないのだが、しかしパッとしない人が適職に巡り合って活躍し始める人も実際にはいる。
自分に合った仕事をするのは大事と言うことか。
※注:こちらは漫画版です。
※注:こちらは原作ノベル版です。
勘違いの工房主 英雄パーティの元雑用係が、実は戦闘以外がSSSランクだったというよくある話
「察しがワリぃな お前はクビだよ」
SSランク英雄パーティー「炎の竜牙」の4人のメンバーのうちの一人・クルトは、戦闘で役に立たないことを理由に突然クビを宣告される。
「スライムも倒せない雑用」などと言われてしまうクルトだが、しかし彼には戦闘以外の凄まじいスキルが多数備わっていたのだった。
彼のクラフトスキルは上記を逸しており、広大な城壁を補修を3時間で終わらせ、料理を作らせれば一級品の味どころか体力の完全回復などの特殊効果まで山盛り、高純度の魔法晶石すら一瞬で作成してしまうほど。パーティーメンバーの武器のメンテナンスも一手に担っており、英雄パーティーの戦闘力は完全に彼のクラフトスキルに依存していた。
それが当たり前になりすぎて、クルトの価値に気付くことすらできなかった英雄パーティーは、絶望の運命を辿ることとなる。
ひのきのぼう

なろう系における「追放もの」の元祖といっても過言ではない作品。
漫画ではないが、2012年に投稿されたSSで、無料で読める。一度は読むべき超名作。
シンプルなクオリティの高さに加え、主人公の愚直なまでの努力と、圧倒的な「報われなさ」の切ない描写が多くの人の心を打った。
近年の作品には主人公がチート能力・チート武器で巻き返すものが多いが、そういったある意味で仄暗い復讐の欲求が潜む作品群とも一線を画している。(タイトルが表す通り、チート武器にあらず、「ひのきのぼう」なのだ)
ガベージブレイブ 異世界に召喚され捨てられた勇者の復讐物語
学校のクラスごと異世界に召喚されてしまい、唐突にスキル鑑定が始まる。
それは異世界の国々が集まって行う勇者召喚の儀式であり、能力の高い者をオークションによって各国が競り落とすというものだった。
上級職、レア職と判定された者は、それぞれ高値がつき、落札した国に売り飛ばされていく。
そんな中、「調理師」のステータスが発現した主人公は、役立たずとして一つの入札もなく、どの国に属することもなく転移門により世界のどこかに追放されてしまう。
さしづめ、魚市場の競りを思わせる光景であり、高級魚はどんどん買い手がつく中、価値のない雑魚と評価された主人公は売られることもなくゴミ箱に捨てられてしまう。
いくら底辺職だからといってこんな扱いをしてくてもいいじゃないか、と思うのだが、人の値踏みというのは現実の世の中でも普通に横行している。なんとなく就職活動に失敗した人を思い起こす展開でもある。
幸いなことに主人公の「調理師」職は、調理したものを食べることを通じてスキルやレベルが上がるという、珍しい特性を保有していた。この特性により、主人公は危機を脱し、不当な扱いをしたことに対する復讐に備えていくこととなる。
第一巻を読む:ガベージブレイブ 異世界に召喚され捨てられた勇者の復讐物語 1巻 (マッグガーデンコミックスBeat’sシリーズ)
転生魔導王は、底辺職の黒魔術士が、実は最強職だと知っている
こちらも「底辺職」モノ。
物語の冒頭は、主人公のティオが勇者パーティーからのクビを宣告されるところから始まる。
優秀な「白魔術師」がパーティーに加わったことで、実力で劣る主人公がリストラされてしまったのだ。
しかし勇者パーティーからの脱落後、ティオは転生前の記憶を思い出す。
それは、「底辺職」とされている黒魔術士が、実は特定の手法を経ることにより最強の職に変貌するというものだった。
「底辺職」やら「底辺クラス」というワードを最近、ファンタジー系(なろう系)作品で本当によく見るようになったと思う。(「底辺」「劣等」「失格」「不適合」などなど、暇があれば統計を取ってみたい)
現実では「職業に貴賎なし」というお題目が唱えられながら、その実、労働者の潜在意識には職業の序列が刻まれており、ファンタジー世界ではそれを憚ることなく表出できると言わんばかりだ。ある意味、現実の鏡と言えるのではないだろうか。
第一巻を読む:転生魔導王は、底辺職の黒魔術士が、実は最強職だと知っている 1巻 (デジタル版ガンガンコミックスUP!)
冒険者ライセンスを剥奪されたおっさんだけど、愛娘ができたのでのんびり人生を謳歌する
主人公ダグラスは「おっさん(37)」の冒険者であり、若い頃には冒険者として活躍してきたのだが、体力の最大値の低下症状があり最近は任務失敗が続き、とうとうギルドマスターからライセンス剥奪を宣告される。
このギルド追放に先立つこと半年、ダグラスは勇者パーティーにも所属していたのだが、そこからもクビになっていたのだった。
体力が落ちてクビになるこの流れは、年を取って二軍落ちしてついには戦力外通告を受ける野球選手にも似ている。
あるいは花形部署から窓際族となりついにはリストラされるサラリーマンの姿も重なる。
今回紹介する作品群の中でも、主人公がおっさんということもあり、世知辛さは随一と言っても良い。
※注:こちらは漫画版です。
※注:こちらは原作ノベル版です。
卑怯者だと勇者パーティを追放されたので働くことを止めました
原作:上下左右 キャラクターデザイン:がおう 漫画:梅之シイ ガンガンコミックスUP!
武闘家のニコラは勇者パーティーの一員だったが、ある日突然、彼の存在を疎ましく思った勇者パーティー一行から、卑怯者と罵られ追放されてしまう。あろうことか、勇者パーティーは彼を後ろから切り付けて装備を奪っていった。
そんな事件から二年、働くことをやめていたニコラは自身の姉・サテラのスネをかじり続けていた。
見かねたサテラは、ニコラに『シャノア学園』で教師を務めることを言い渡し、ニコラは嫌々ながらも学園に赴く。
そこで出会ったエルフの王女・アリスに、ニコラの戦闘術を教えることになるのだったが、実は彼の戦闘術は実戦向きも実戦向き、相手の注意をそらした際に金的、騙し討ち、卑怯技なんでもござれの周囲をドン引きさせる代物だったのだ……。
ニコラを追放した勇者パーティーの末路にも注目。
解雇された暗黒兵士(30代)のスローなセカンドライフ
作者:岡沢六十四(原作)、るれくちぇ(漫画)、sage・ジョー(キャラクター原案)
講談社
暗黒兵士ダリエル(32歳)は、魔王軍の四天王補佐の役職についていたが、魔法が使えないことを理由に解雇を言い渡される。
先代四天王に取り上げられて役職についていた主人公ダリエルだったが、四天王の代替わりとともに低い評価を受けて、32歳という微妙な年齢でリストラの憂き目に遭うのだった。
新たな魔法軍に魔法の使えない者は不要ということで、ある意味、経営層の評価基準が変わったことで活躍の場を失ってしまったとも読める展開だ。
現実に重ねてみれば、外資に買収された日本企業でそれまで評価されていた人材が落ちぶれるような様にも似ている。
そしてクビにしたはいいものの、後任がうまくハマらず何人も交代させるという展開も、さもありなんという感じだ。
※注:こちらは漫画版です。
※注:こちらは原作ノベル版です。