ビジネスマンへのおススメ漫画【らーめん才遊記】~仕事とは、プロとは何か。そして経営とは~

ビジネス本・漫画紹介
みる子
みる子

『ビジネスマンへのおススメ漫画』シリーズでは、数多ある漫画の中から、ビジネスマンとしての知恵や教訓、学びや発想をストレスなく得られる作品を紹介する。

まず第一回目として是非紹介したいのはこれだ。

【らーめん才遊記】 ラーメンが題材の経営コンサルティング漫画

『らーめん才遊記』
原作:久部緑郎、作画:河合単
出版社:小学館

⇒第一巻を読む:らーめん才遊記(1) (ビッグコミックス)
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みる子
みる子

この作品はラーメンを題材とした経営コンサルティング漫画という、非常に珍しい内容の作品だ。

残業ペンギン
残業ペンギン

おお、ラーメン屋の店舗経営がテーマということでしょうか?
どんなストーリーなんですか。

みる子
みる子

ラーメン業界のカリスマである『芹沢達也』が設立したフード・コンサルティング会社「清流企画」に、『汐見ゆとり』という新人女性社員が入社するところから始まる。

物語は汐見ゆとりを中心に展開し、新人なので経営コンサルタントとしてはド素人である彼女が、様々なラーメン屋の経営立て直しに悪戦苦闘する物語だ。

「清流企画」の代表であり、非常に優秀なコンサルタントでもある芹沢達也だが、人間性は悪魔のようであり、汐見は芹沢から毒を吐かれたり理不尽な試練を与えられつつ、時には面倒を見てもらいながら成長していく。

残業ペンギン
残業ペンギン

芹沢達也……ってもしかして、黒のスーツに坊主頭でちょっと眼付きの悪いキャラですか?
たまにネットで画像を見ますよ。
「いいか、汐見。「金を払う」とは仕事に責任を負わせる事、「金を貰う」とは仕事に責任を負うことだ。金の介在しない仕事は絶対に無責任なものになる。」っていうワンシーンが良く切り取られて貼られてますよね。

『らーめん才遊記』8巻 p71

みる子
みる子

それはらーめん才遊記8巻のワンシーンだな。芹沢の静かだが容赦ない指摘と、対する汐見のポカンとした顔が印象的だ。
芹沢のプロとしての仕事観がよく表れた一節と言えるだろう。

残業ペンギン
残業ペンギン

このワンシーンだけでも迫力があって面白いですね。

みる子
みる子

この漫画は、ラーメン屋経営のコンサルティング、という一般的なサラリーマンからは縁遠いテーマでありながら、面白く見せる技術がすごい。
この漫画には、経営不振に陥ったラーメン屋がいくつも登場し、最初はその不振の原因がよくわからない。しかし、話が進むにつれて、その店の周囲の状況、競合、環境変化(高齢化、あるいはマンションが建つなどによるファミリー層の増加)、活かすべき強みや、問題点となっている弱みなどが、謎解きのように徐々に明らかになっていく。
そして、浮き彫りとなった経営不振の原因に対し、不振を見事に打開する戦略を打ち出し、店に活気が戻る。
その過程では、コンサルティングによく使われる分析手法が多数登場する。

残業ペンギン
残業ペンギン

おー、コンサルティングの分析手法ですか?

みる子
みる子

ああ。そして、これがビジネスマンにとってこの漫画が役とに立つ思う部分でもある。

例えばSWOT分析やマーケティングミックス(4P)。作中でその名前こそ明示はされないものの、フレームワークとしてはしっかり登場している。

【SWOT分析】
外部環境/内部環境をS(強み)、W(弱み)、O(機会)、T(脅威)の 4つの視点で分析し経営の意思決定に活用する。
■S:Strength(強み)
経営を行う上で強みとなる要素の事。
例えば味へのこだわりや、顧客のロイヤリティ (忠誠、言い換えると店へのファン精神)など。
分かりやすい例として、「次郎系」ラーメンというのは特定顧客層のロイヤリティを獲得していると言える。
■W:Weakness(弱み)
経営を行う上で弱みとなる要素の事。
例えば顧客が来辛い立地(エレベータの無いビルの上階)や価格競争力など。
■O:Opportunity(機会)
経営上、機会となるもの。
特定ジャンル(つけ麺など)のブームの到来、都市開発による人口増→顧客増など。
■T:Threat(脅威)
経営上、脅威となるもの。
競合他社の近隣への進出、飲食業を希望する働き手の減少など。
※強み弱みは内部環境、機会脅威は外部環境、という分け方ができる。
【マーケティングミックス(4P)】とは
4つのP(Product:製品、Price:価格、Promotion:販促、Place:流通)の視点から、商品やサービスを展開するのに適した方法やポジショニングを考え、 効果を最大化するためのマーケット戦略。例えば下記のようなもの。
■Product:
ドカ盛り系の量的満足度の高いラーメン
■Price:
学生にも支払いやすい500~600円の価格帯
■Promotion:
視認性の高い看板、内容が一目でわかる店頭メニュー
■Place:
学生街、大学周辺
みる子
みる子

ラーメン才遊記の話に戻ると、実は汐見ゆとりは「料理」に対して超人的な才能を持っており、それを武器にすることでフードコーディネーターとしての業務を遂行していく。
一方、その才能が強すぎるために、汐見はProduct偏重のコンサルティング提案をしてしまい、バランス感覚を欠いてしまったために失敗したり芹沢にフォローされる……という展開もよく登場する。

残業ペンギン
残業ペンギン

なるほど、Product偏重。
ラーメンの味自体に重きを置いてしまったということでしょうか。

みる子
みる子

そうだ。ラーメンの味が良いことはラーメン屋にとって非常に重要だが、それだけでは「店舗経営」は出来ないよということでもある。
先ほど紹介した4Pのうち、Productは一要素に過ぎず、他とのバランスの取れた効果的な戦略を提案することこそが、店舗経営のコンサルティングにとって重要だということだ。
これはラーメンの話を飛び越えて、経営自体の非常に重要な教訓を示唆していると言えるだろう。

残業ペンギン
残業ペンギン

うーむ、奥が深い……。

みる子
みる子

他にも、経営者夫婦の高齢化に伴う後継者問題なんかを扱う話もあったり、まさに店舗経営のコンサルティングで頻出の題材ばかりが詰まった物語だ。

残業ペンギン
残業ペンギン

なるほど、本当に「経営」に着目した物語なんですね。

みる子
みる子

ところで当ブログは中小企業診断士の資格取得を推奨しているが、SWOT分析、マーケティングミックス(4P)、高齢化に伴う後継者問題なんかは、中小企業診断士試験の頻出トピックだ。
事前知識があるとより楽しく、より共感度が高く読めると思う。

残業ペンギン
残業ペンギン

環境分析手法などは、一般のビジネスマンでも知っておいて損は無いですよね。自分の仕事に活かせそうです。
それを漫画で面白く勉強できるとなると、俄然読みたくなってきますね。

みる子
みる子

随所に登場する芹沢の仕事観を反映したセリフなども、クライアントを相手にしている営業やコンサルには共感できるところや学ぶところが多いだろう。

新人である汐見を中心に展開しているのもポイントで、小難しいアプローチではなく、入門的かつ重要なコンサルティングのポイントを楽しく理解できる
全てのビジネスマンに是非読んでもらいたい作品だな。

残業ペンギン
残業ペンギン

ぼくも読みたくなってきました!

みる子
みる子

ちなみにらーめん才遊記は前作の『ラーメン発見伝』の続編だが、前作を知らなくても楽しめる。

それでは今回はここまでだ。

残業ペンギン
残業ペンギン

ありがとうございました。

芹沢達也が登場する漫画シリーズのご紹介

『ラーメン発見伝』

⇒第一巻を読む:ラーメン発見伝(1) (ビッグコミックス)
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『らーめん才遊記』

⇒第一巻を読む:らーめん才遊記(1) (ビッグコミックス)
⇒Kindleでまとめ買い:らーめん才遊記

『らーめん再遊記』

⇒第一巻を読む:らーめん再遊記(1) (ビッグコミックス)
⇒Kindleでまとめ買い:らーめん再遊記

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